2022 Fiscal Year Research-status Report
Curriculum Model Development for the Promotion Effectiveness of Mathematical Knowledge and Expansion of Quantitative Concepts in the Measurement Domain
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22K02509
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
椎名 美穂子 畿央大学, 教育学部, 教授 (70911676)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 測定 / 任意単位 / 変数 / 思考の促進 / 数学的知識変数 / アイディア / 体験的な活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
我国の算数科において新設された下学年の測定領域は,第1~3学年の領域内の狭い学びに収束する課題がある。諸外国においては「測定は早い時期に発展する可能性がある」とあり、第6学年までの広範囲の領域となっている.国内の授業や先行研究においては,量感や測定方法の四段階の獲得に留まり,高学年の資質・能力に関わる量概念の拡大には至ってない。 2022年度の本研究においては、これらを踏まえ、日本の測定領域におけるこれまでの量感覚、測定方法の四段階、計器選択、単位換算が中心であった学習指導を見直し、日野ら(2020)やLamon (1999,2020)の先行研究を基に測定の本質に関する整理を行い、教育現場の先生方の協力による調査授業を行った. 今回の調査授業で注目した測定の原理は「限りなく正しい値に近づける」という微積分にもつながる重要な考えである.第1・2学年とも反応があった補正の原理と再帰の原理は、ユニット操作が全体と部分の関係、包含除、内包量の思考、分数の下位単位の考えに関わる大切な原理である.第1学年に反応が見られなかった近似の原理に関しては,手先の動きが十分でなく、量を調整できずに誤差が生じるといった発達段階の影響が見えた.測定値の正しさや測定技術以上に、原理に視点を当てた学習が一層大切である.また、第1学年では1量への着目が中心となり、未習の累加にも思考が及んだ.一方、第2・3学年とも、2量への着目も可能となり、任意単位・普遍単位の関係を考えるといった2量の対応関係を思考していた. 本研究では、これまで日本の算数教育で注目しなかった測定における任意単位の重要性とユニット化・ノルム化の過程の重要性が見えた.今後は測定における概念の形成過程を捉えるために、学習軌道を軸とし、扱うユニットの大きさの検討、任意単位と普遍単位の換算による活用を諸外国の取り組みからも調べることを課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
諸外国の先行研究、国内における関連した先行研究を基に測定の本質、原理の必要性を理論的に整理することに取り組んだ.これまで日本の算数教育の測定で注目していなかった測定の原理に焦点を当てて調査研究をすることにより、測定に関する学習指導の改善を、任意単位の重要性とユニット化・ノルム化の過程から見直す重要性が見えた.また、諸外国の教科書の分析からは、正しい測定値を求めることに重点を置かず、測定する活動を通した概念形成に重点を置いていることが分かり示唆を得た. 測定においては任意単位は普遍単位に導くための方便のように扱われているが、普遍単位の学習後、任意単位の活用に重点を置き、任意単位に焦点を当てる必要がある.そのことが、比例的推論、割合、比の学習につながる低学年での学習を可能にする.このように測定の本質と原理に注目することの重要性を見いだしたことが進展である. 測定における数学的知識の変容と思考の促進に関する調査授業からは、小学校第1学年においても2量の関係を感覚的に把握しており、乗法を学習する第2学年・第3学年においては、2量の関係を把握しながら、更に未知の量を思考することが見えた.測定の原理である「補正の原理」「近似の原理」「再帰の原理」は、微積分にもつながる重要な考えである.認知と情意が絡み合った思考を取り上げることの価値からも、身の周りの任意単位を用いて、任意単位と普遍単位の換算を行い、量感を捉え直すことの重要性が見えてきた.学習者のアイディアに関わる「任意単位」「変数」に着目した思考の軌跡図から、2量の関係を考えることは第2学年から可能であることが分かった. このように、測定の学習は、上学年の比例的推論、割合、比の学習と関連するだけでなく、統計学との関連から「変数」への着目力にもつながるため、今後一層、測定の本質に焦点を当て、測定の原理に注目をすることへの重要性が見えた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、諸外国で重視している測定の原理が、どのように実際の授業で展開されているのかを視察に行く必要がある.また、測定の学習において,任意単位によるユニット化と,測定結果を数値に表してノルム化する児童の実際について、更に学年を広げて調査を行う。特に、測定の本質である概念形成を重視すること,その概念形成に関わる比例的推論に焦点を当てること,第1・2学年においては,ユニット化,ノルム化の形成に関わる任意単位の役割に着目した活動を取り入れる必要性が見えたことを基にする必要がある.そして、測定における概念の形成過程を捉えるために,学習軌道を軸とし,扱うユニットの大きさの検討,任意単位と普遍単位の換算による日常生活における活用と、子どもたちにとってのよさを更に調べていく。 また、測定の本質を考える際に数量関係に焦点を当てることに関連して、統計においては、フェルミ推定を参考にして、変数を可視化する活動の設定、変数への着目の様相、問題意識の高まりを調べ、正解を目的としない数学や着目した変数と主に比例に関する数学的知識の活用により,統計に関する思考の促進と,意欲の向上につながる研究も並行して進める。このことについては、変数に着目するスピード,用いた変数に関する妥当性等についても検討を重ねていく。
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Causes of Carryover |
国内の教科書研究センター等から諸外国の学習内容の把握はできたが、コロナ禍が続き、実践を通して更に把握するための諸外国の視察が難しかったため。
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Research Products
(7 results)