2023 Fiscal Year Research-status Report
体育科の学習指導論へのCapability Approachの適用可能性
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22K02510
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
黒川 哲也 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (50390258)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 体育の学習指導論 / Capability Approach / 体育の学力 / 学力の分有と共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,Capabilities Approach(以下CA)を体育科の学習指導論に適用する可能性について検討することを目的としている.2023年度は、1.戦後体育科の代表的な学習指導論に含まれる(不)平等主義的側面と「個と集団」の捉え方についてCAの概念から検討すること、2.CA概念に沿った体育科の学習過程モデルを構築すること、3.研究協力者及び勤務校との協議と次年度の指導計画づくりおよび対象教師へのインタビューを課題とした.上記課題の内,1.に関しては、体育科におけるグループ学習論においては,共通の学習内容設定、学習集団の目的の共有・集団的な課題解決(教え合い活動)が重視されているものの,学習成果を個のレベルで捉える傾向が強く、「集団が持つ学力」を明らかにしてこなかった点が課題として析出された.2.については,集団的CA概念の観点から、体育科のグループ学習論において,「教材に対する学習者の多様な『問い』の対話・交流」と「学習目標・方法についての『合意形成』」,そして「学習成果の分有と共有」を要件とする学習過程モデルを仮説的に構築した.また3.については仮説モデルに基づく実験授業実施のために、研究協力者との協議を実施し、2024年度における指導計画づくり及び実験授業実施の同意を得た.併せて、教師の指導上の「志向性」(目標志向性,教授内容、学習方法・スタイル、教材開発、評価、カリキュラム編成)に関する質問紙を作成した.作成の過程では、元保健体育教師による質問項目の妥当性の検討を実施した. 現在、「個別最適化された学びと協働的な学びの統一」が求められている中で、体育学習における「個と集団」の関係を明らかにしつつ、意味ある学びを構築するための学習過程モデルを明らかにすることは,方法主義的に傾きがちな学習指導の評価の観点を明らかにするという意義をもっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論的課題については,概ね順調に進んでいるものの,本務多忙(役職及び担当授業)のため、研究協力者との研究協議及び実験授業実施校への挨拶等が実施できていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度前半に、研究協力者である中学校保健体育教師を対象にした質問紙調査及び指導計画づくりを対面並びにオンラインで進める.実験授業の実施・観察については,校務の調整により進行する予定である. ただし,研究協力者の内の一部が転勤により,実験授業の実施条件を十分に満たすことできなくなったこともあり、新たな研究協力者捜し等の課題が浮上している.
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Causes of Carryover |
2023年度は公務多忙のため、研究協力者との研究協議並びに質問紙調査に予定していた旅費並びに用紙代・印刷費用等が消化できなかったため. 2024年度は、前年度十分に行えなかった研究協力者との研究協議の実施(旅費:宮城県・滋賀県)及び質問紙調査の実施(その他),ならびに実験授業の指導計画づくり・授業観察(旅費:宮城県・滋賀県)として使用する.
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Research Products
(1 results)