2022 Fiscal Year Research-status Report
英語授業における生徒の発話およびスピーキング力の育成を促進する教師発問の開発
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22K02517
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 武夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50324174)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | やり取り / 話すこと / 教師発話 / 足場がけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)どのような教師の発問が、教科書本文をもとに児童生徒の英語での発話を引き出すのかを明らかにする、2)教科書本文をもとにしたどのような教師発問を、児童生徒のスピーキング力の向上にどのように活用すべきか具体的な指導方略について提案することである。令和4年度は、どのような教師の発問が、児童生徒の英語での発話ややり取りを引き出すのか、先行研究を整理し、そのメカニズムについて明らかにした。教師発問が児童生徒の発話ややり取りを引き出すメカニズムについて、とくに小学校外国語授業でのSmall Talkに関する理論的枠組みの整理を文献をもとに行った。その成果は、田中武夫・奥村直史(2023)「小学校外国語授業におけるSmall Talkの意義と可能性:教師と児童のやり取りに着目して」『教育実践学研究』28, 57-70にまとめた。そこでは、教師と児童のやり取りの意義と可能性に着目し、これまでの先行研究において、教師発話や児童同士のやり取りが主に着目されてきているが、教師と児童のやり取りについてはまだ十分に検討がなされていないことが分かった。そこで、第一言語および第二言語習得理論の研究から、教師と児童のやり取りの意義について考察し、教師と児童のやり取りは、児童の言語習得を促す可能性を秘めていることが明らかになった。また、小学校の外国語授業において教師と児童の英語でのやり取りを行う指導について具体例をもとに考えたが、教師と児童のやり取りを中心としたSmall Talkは、 授業の導入だけでなく、リスニング活動を含めた授業の随所で行うことができる可能性があり、教師と児童のやり取りを工夫して積極的に行うことで、児童に新しい表現に触れさせ、既習表現を定着させ、英語でのやり取りを継続させる力の育成を促す機会をつくり出すことができる可能性について提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、以下のとおり研究を進める。どのような教師の発問や発話が、教科書本文をもとにした、授業中の児童生徒の発話や教師と児童生徒、あるいは、児童生徒同士の英語でのやり取りを効果的に引き出し、その結果、スピーキング力や言語習得を促すのかを発問タイプごとの働きと有効性について検討する。1年目の文献調査から明らかになった事柄を踏まえながら、教師の発問や発話のタイプを計画的に配置した指導を実際に実施することで、どのような教師の発問や発話が教科書本文をもとにした生徒での英語のやりとりを効率的に引き出し、それが生徒のスピーキング力の育成や言語習得にどのような影響を与えることができるかを調査する。とくに、どのタイプの教師発問に効果があるかについて、実際の授業において教師発問を用いた実践を行い生徒の発話を継続的に記録し、1)生徒の英語の発話ややり取りにおける発話量やストラテジーの使用頻度などの量的な分析を行い、2)テキスト内容に関する表現をどれくらい取り込んだ発話を行っているかなど量的・質的な分析を行いながら、教師発問の有効性について明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響から、当初予定していた学会参加のための旅費が不要になったため。次年度はデータのテープ起こしに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)