2023 Fiscal Year Research-status Report
小学校国語科「書くこと」の資質・能力を育てる教科等横断的な学習に関する研究
Project/Area Number |
22K02538
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
成田 雅樹 秋田大学, 教育学研究科, 教授 (50361217)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 小学校国語科 / 書くこと(作文) / 書くことの学習方略 / 書くことの資質・能力 / 言葉による見方・考え方 / カリキュラム・マネジメント / 教科等横断的な学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は第1学年から第3学年までのカリキュラム・デザイン表を作成した。主に第1学年の国語科の単元数が30を超えていたため、作業量と論文のページの関係で、第4学年から第6学年は次年度に回すこととした。このカリキュラムデザイン表の作成過程で得た知見や作成後のカリキュラム・デザイン表を考察した内容については、年度末に論文にまとめて発表した。秋田大学教育文化学部附属教職高度化センターの『秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要№46』に「小学校国語科『書くこと』の資質・能力を育てる教科等横断的な学習に関する研究(2)」のタイトルで公開している。得られた知見や考察の要点は以下のとおりである。 ①第1学年と第2学年では、教科等横断的な学習をすべての他教科等で設定できた。題材の自由度が大きいと横断単元が設定しやすくなることは、第3学年にも共通することである。 ②教科等横断的な学習で扱われる文種については、Narrative-typeとInformative-typeが多い。どのタイプにしても、題材の重なりが大きい場合や、題材の自由度が大きい場合に横断単元を設定しやすくなることが分かる。 ③教科等横断的な学習の機会には、大きく2通りの教科間関係が見られる。1つはすべての教科で1つの横断単元を構成する場合である。また別の1つは国語科と横断する教科等がいくつかに分かれる場合である。国語科が題材を特定していない場合に、他教科等の題材を当てはめて共通化が図られることが多い。 ④複数教科等で1つの横断単元にする場合は、各教科等の実施時間にゆとりが生じるという利点がある。一方、題材が共通するいくつかの横断単元にする場合は、国語科の言語活動が反復されて、より確かに習得されるという利点がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目以降に予定していた協力校における検証授業が、研究1年目に秋田大学教育文化学部附属小学校公開研究協議会の公開授業として実施できた。第2学年の生活科と国語科書くことの学習を教科等横断的に行う単元であった。そのため、急遽研究計画を変更して、1年目に授業実践の分析を行い、「小学校国語科『書くこと』の資質・能力を育てる教科等横断的な学習に関する研究(1)」と題する論文にまとめることとした。これは秋田大学教育文化学部附属教職高度化センターの研究紀要『秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要№45』に掲載されている。 今年度は研究2年目であるが、上述のような事情から当初は1年目に取り組む予定にしていたカリキュラム・デザイン表の作成と考察に取り組んだ。 したがって、研究2年目を終えた時点で、順序は入れ替わったが予定した通りに研究が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、カリキュラム・デザイン表の第4学年から第6学年の作成に取り組み、その成果と考察を論文(「小学校国語科『書くこと』の資質・能力を育てる教科等横断的な学習に関する研究(3)」)にまとめる予定である。 また、秋田大学教育文化学部附属小学校の協力を得て、さらなる検証授業の実施と分析を行いたいと考えている。さらに、委嘱依頼を受けている秋田県教育庁義務教育課の事業(秋田の探究型授業の改善に関する検証改善委員会)の委員長として関わる県内の複数の学校の授業からも、分析対象とできる授業があれば取り上げて論文に含められるように努めたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
主として研究旅費が次年度使用額となった。理由は、予定していた学会等がオンライン開催であったり、他の業務と日程が重なったために参加できなかったりしたことによって、支出できなかったからである。 次年度は、予定していた全国大学国語教育学会のほかに、日本教育方法学会や日本国語教育学会にも参加して調査活動を進めることとしているため、適正に使用できる見込みである。
|