2022 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルインクルージョンの考え方を重視した性に関する指導の実証的研究
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22K02539
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
片岡 千恵 筑波大学, 体育系, 准教授 (30642524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 貴弘 筑波大学, 体育系, 教授 (90862102)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 性に関する指導 / 保護者 / 半構造化面接法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学校の性に関する指導の充実に向けて,教師,管理職,保護者のそれぞれの立場から,現行の性に関する指導の改善事項と今後求められる内容(ニーズ)を明らかにし,社会的に困難な立場にある人々を含むすべての人が共に生きていくという理念であるソーシャルインクルージョンの考え方を重視した性に関する指導の授業モデルを構想し,その有効性を検証することを目的としている。そのために1年目の令和4年度には,まず,学齢期の子供を持つ保護者(母親)7名を対象として,半構造化面接法による調査を実施した。調査内容は,教育に対する「立場づけ」の概念を説明する理論であるPositioning Theory(Harre R et al., 1999)を用いた研究分担者の先行研究(Sato T et al., 2018; 2019)を参考として作成した。得られたデータを質的に分析し,性に関する指導の一層の充実に向けては,子供が自分を守る行動の重要性を教えること,セクシュアリティに関する重要な会話をする適切なタイミングを見つけること,学校で取り扱う内容と家庭で取り扱う内容のバランスを理解すること,が求められることが見出された。本結果から,母親は,子供の社会的成長,認知的発達および意思決定に影響するロールモデルの一人であり,子供の発育発達の段階に応じた適切な方法でセクシュアリティについてコミュニケーションをとっていくことの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に予定していた保護者(7名)を対象とした半構造化面接法による調査を実施し,得られたデータを分析した結果,性に関する指導の充実に向けた重要な知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の令和5年度には,教師および管理職を対象とした半構造化面接法による調査を実施する。また,これらの得られた知見を踏まえて,ソーシャルインクルージョンの考え方を重視した性に関する指導の授業モデルを構想する。
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Causes of Carryover |
令和4年度は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために,参加予定の学会大会がオンライン開催となり,国内旅費の支出が発生しなかった。令和5年度は,教師および管理職を対象とした半構造化面接法による調査等を実施するため,主にデータ入力や資料整理に係る人件費として使用する予定である。
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