2023 Fiscal Year Research-status Report
我が国における水災害に対する防災教育としての安全水泳指導法の確立
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22K02555
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鳥海 崇 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 准教授 (90548265)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 安全水泳教育 / 水難事故防止 / 防災教育 / water competency / safe exit / 安全な離水 / Drowning prevention / Water Safety Education |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の学校教育における水難事故防止教育に必要な項目を整理し、その中の1項目である「安全に水中から陸上に上がる能力」について調査研究を実施した。 男子大学生 37人、 女子大学生 17 人を被験者とし、 水深2m のプールから高さ0m もしくは 0.3m の陸上 への上がり方を測定した。陸上への上がり方を観察し、どの程度容易に水から上がることができるかを決定した。また、被験者は水着状態と水着にライフジャケットを着用した状態とで測定を実施した。この結果として、水から陸上への上がり方としては、水着状態の方が、ライフジャケット着用状態よりも優位に容易に上がることができた。また性別では、男性の方が女性よりも優位に容易に上がることができた。特にライフジャケットを着用した女性のほとんどが、高さ0.3mの陸上に上がることができなかった。また、陸上の形状が与える影響については、船やボートを模した凸型の形状の場合、水から上がろうとした場合、重力的な安定のため、下半身が船底に潜り込んでしまうため、垂直な壁に比べて優位に低い値を示した。 これらのことから、安全に水中から陸上に上がる能力に関しては、ライフジャケットが与える影響を少なくすることが重要であると考えられる。そのためには胸部の厚みが影響を与えていると考えられることから、今後のライフジャケットの開発の際は、浮力を減らすことなく、胸部の厚みを減らすことが重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水難事故防止に資する15の能力としてWater Comeptencyにより国際ライフセービング協会が提唱されており、本研究では そのうちの1つとして「水中から陸上に安全に上がる能力」について調査研究を実施した。当初の計画ではもう一つの「 陸上から水中に安全に入る能力」 についても同様に調査研究を実施する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の影響により、計画通りに被験者数を増やすことができず、その結果として計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では当初の計画通り「 陸上から水中に安全に入る能力」 について調査研究を実施予定である。 また、当初の計画にはなかったが、「 水中から陸上に安全に上がる能力」に優位に影響を与える ライフジャケットについても検討を加える予定である。 これは昨今の 集中豪雨による水災害が頻発している状況から、各所において ライフジャケットの備蓄が進んでいるが、「 水中から陸上に安全に上がる能力」に対して特に考慮しないライフジャケットが広まっており、このことが結果的に多くの人命に影響を与える可能性があるためである。
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Causes of Carryover |
当初研究計画にあった実験装置の購入が遅れたためである。この理由としては、その前提となる水中から陸上へ上がる際の容易度を測定するための被験者を集めるために時間を要したためである。翌年度においては当初研究計画にあった、陸上から水中へ入る際の安全度を測定するための実験装置の購入を予定している。
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Research Products
(5 results)