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2023 Fiscal Year Research-status Report

The Effects and Mechanisms of Music Workshop-Style Classes

Research Project

Project/Area Number 22K02591
Research InstitutionYamaguchi College of Arts

Principal Investigator

小野 隆洋  山口芸術短期大学, 芸術表現学科, 准教授 (20826169)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岩中 貴裕  山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (50232690)
上村 有平  頌栄短期大学, その他部局等, 准教授 (70611268)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords音楽ワークショップ / 音楽鑑賞 / 音楽表現 / 自己調整学習 / ティーチング・アーティスト / エントリー・ポイント / 自主性 / 勤勉性
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、短期集中型の学習形態を特徴とする音楽ワークショップ型授業が、子どもに与える影響を明らかにすることを目的として次に示す調査を実施し、量・質的データを分析した。実施した調査は、当該授業に参加した2,251名の小学生児童に対するアンケート調査に加え、音楽ワークショップ型授業を実施した学校の教員の中から調査協力者7名と、演奏披露及び実技指導を行ったプロの音楽家5名に対して実施した半構造化面接調査である。その結果、生演奏に合わせた身体の動作によって、仲間とともに子どもたちのポジティブな感情(情動)が強まり、その後の学びにつながる貴重な体験ができたことが示唆された。ヴィゴツキーの理論では、発達の最近接領域(ZPD)は、自力で課題解決できる水準とできない領域との間に位置し、他者の支援によって解決できる水準の領域を示している。この場合の支援を行う他者 (MKO)とは、ブルーナーらが指摘する足場かけの役割を果たすのである。音楽ワークショップ型授業におけるMKOは、まさにブースが提唱するティーチング・アーティスト(TA)に他ならず、音楽ワークショップ型授業の成否に大きく関わることが示唆された。
また、音楽ワークショップ型授業の効果とそのプロセスについて、エリクソン理論から検討した結果、授業の中心となる「楽しい鑑賞活動」は、音楽発達における「自主性 対 罪悪感」から「勤勉性 対 劣等感」への移行を支えるものであることが議論された。さらに「自主性 対 罪悪感」から「勤勉性 対 劣等感」への移行プロセスは、音楽における自己調整学習や興味の深化のプロセスとも深く関連することが指摘された。音楽ワークショップ型授業での楽しい鑑賞活動によって、自主性と勤勉性の感覚が育まれることで、子どもは自ら設定した目標に向かって、困難があっても主体的に学ぶことを可能にする学びに向かう力が形成されると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、短期集中型の学習形態を特徴とする音楽ワークショップ型授業が、子どもに与える影響を明らかにすることを目的として次に示す調査を実施した。実施した調査は、当該授業に参加した2,251名の小学生児童に対するアンケート調査に加え、音楽ワークショップ型授業を実施した学校の教員の中から調査協力者7名と、演奏披露及び実技指導を行ったプロの音楽家5名に対して実施した半構造化面接調査である。これらの調査結果に基づいて、量・質的データを分析した研究成果を学会発表及び査読付き論文等で広く公開できていることから、おおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

音楽スキルの教授・学習プロセスに自己調整学習の理論を適用したMcPherson, Nielsen & Renwickを参照し、音楽家が経験的に導出したプロ演奏の鑑賞が子どもの表現に影響を及ぼすこと、あるいは授業内で生起する模倣や同一化といった発達・学習プロセスに焦点をあてていく。音楽ワークショップ型授業が子ども個人に及ぼす効果としては、文部科学省の学習指導要領における3つの資質・能力「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」に関わる指標、または対人関係能力や自尊感情、動機づけ等が考えられる。また音楽ワークショップ型授業がクラス集団に及ぼす効果としては、学級雰囲気や集団凝集性などが想定される。そこで、これまでの授業実践とその観察、文献・理論研究を継続し、その成果に基づいて音楽ワークショップ型授業が子ども個人やクラス集団に及ぼす効果について、これまでの質問紙法や面接法によって得られた量・質的データの更なる分析・解析結果とも比較しながら明らかにすることを試みる。また、音楽ワークショップ型授業の効果が生起するためのメカニズムに研究範囲を拡大し、各種研究データから仮説を生成する。とりわけ授業内での音楽家と子ども個人・クラス集団の相互作用に着目し、プロの音楽家による演奏の鑑賞が子どもの表現にどのような影響を及ぼすか。またその際に模倣や同一化といったメカニズムがどのように働いているのか、あるいは音楽家の使用する言語が子ども個人やクラス集団にいかに作用するのかに焦点をあてて検討していく。
質問紙法による調査結果にくわえて、半構造化面接・非構造化面接といった面接法によって得られた質的データの分析も行うことで、量・質的の両面から有機的に融合したアプローチを試みる。

Causes of Carryover

調査の実施が長期間にわたり、データ入力及び整理に時間を要したため、量・質的データの分析や解析を優先し、研究分担者との間で業務負担の調整が必要となり、一部で次年度使用額が生じた。したがって、翌年度分として請求した助成金と合わせて、当該助成金をデータの更なる分析・解析、さらには学会発表及び論文執筆等の研究成果発表に使用する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 音楽ワークショップ型授業が児童に与える影響-アンケート調査結果に基づく分析と考察-2024

    • Author(s)
      小野 隆洋、岩中 貴裕
    • Journal Title

      日本国際教養学会誌

      Volume: 10 Pages: 41~53

    • DOI

      10.57359/jailajournal.10.0_41

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 音楽ワークショップ型授業におけるエリクソン理論の援用可能性2024

    • Author(s)
      上村 有平
    • Journal Title

      頌栄短期大学研究紀要

      Volume: 48 Pages: 1-16

  • [Journal Article] 音楽ワークショップ型授業が子どもに与える影響-半構造化面接調査の結果に基づく分析と考察-2023

    • Author(s)
      小野 隆洋、岩中 貴裕
    • Journal Title

      日本時間学会山口芸大支部研究会要旨集

      Volume: 3 Pages: 1-2

  • [Presentation] 感性教育の歴史から考える音楽ワークショップ型授業の効果とそのメカニズム ー身体知とその接点ー2024

    • Author(s)
      小野 隆洋
    • Organizer
      第2回身体文化史研究会-地域史とその表象-
    • Invited
  • [Presentation] 音楽ワークショップ型授業が子どもに与える影響-量・質的データに基づく分析と考察-2024

    • Author(s)
      小野 隆洋
    • Organizer
      玄奘大學2024多元教學理論與實踐國際シンポジウム
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 音楽ワークショップ型授業が子どもに与える影響-半構造化面接調査の結果に基づく分析と考察-2023

    • Author(s)
      小野 隆洋、岩中 貴裕
    • Organizer
      第3回日本時間学会山口芸大支部研究会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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