2023 Fiscal Year Research-status Report
道徳性を涵養する教科横断的なシティズンシップ教育カリキュラムのマネジメントの研究
Project/Area Number |
22K02644
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Research Institution | Okazaki Women's University |
Principal Investigator |
中村 仁志 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 講師 (30881560)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | デューイ / デューイ実験学校 / メリオリズム / 適応 / 歴史科教育 / カリキュラム / 教授・学習過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,研究目的に関わって次の三つの問いを設定した。①デューイ実験学校における道徳性を涵養する教科横断的なカリキュラムのマネジメントは,道徳性の涵養に関するデューイのどのような議論を基盤にしていたのか。②デューイ実験学校の教師は,①をふまえ,道徳性を涵養する教科横断的なカリキュラムのマネジメントをいかに進めたのか。③①②の成果から,わが国の小学校における道徳性を涵養する教科横断的なシティズンシップ教育カリキュラムのマネジメントについてどのような示唆を得ることできるのか。 2023年度は,本研究の問い①と②に関わって,デューイが論じた道徳性論と密接な関連が見られるシカゴ大学時代のデューイの適応論に焦点を当てて研究を進めた。このシカゴ大学時代のデューイの適応論は,シティズンシップ教育の視座からみると,知性を用いて諸条件を研究し改善する努力を含意する後年のデューイの「メリオリズム」の萌芽が見られるという点で注目すべき所論である。具体的には,次の二つの研究を行った。第一に,教育目的論の視座からシカゴ大学時代のデューイの教育論を分析した研究である。シカゴ大学時代のデューイの適応論に着目し,教育目的論の視座からシカゴ大学時代のデューイの教育論を分析することで,資質・能力時代の総合的学習における教育目的論への示唆を得た。第二に,デューイ実験学校の歴史科教育の理論と実践に関する研究である。デューイの所論,デューイ実験学校の教師の所論,デューイ実験学校の教育実践に分析を加え,デューイのいう適応を促すという視座から,教授・学習過程とカリキュラムの関連性を含むデューイ実験学校の歴史科教育の理論と実践について明らかにした。これらの研究については,学会発表,論文を通してその成果の共有を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学会発表と論文執筆についてはおおむね順調に進めることができている。しかし,米国での史資料の収集については,計画を変更することとなった。当初,2023年度と2024年度に1回ずつ,計2回の米国での史資料の収集を予定していたが,米国での史資料の収集に必要な旅費が申請時点より大幅に高くなっている。そこで,米国での史資料の収集については2024年度に1回行うこととした。そのため,「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,本研究の問い①と②に関わって,道徳性の涵養との関連をふまえつつ,シティズンシップおよび民主主義に着目した研究を進める。具体的には,シティズンシップ形成および民主主義を志向する教育の視座から,シカゴ大学時代のデューイの所論,デューイ実験学校の教育実践,デューイ実験学校の教師によるマネジメントを分析する研究に取り組む。
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Causes of Carryover |
当初,2023年度と2024年度に1回ずつ,計2回の米国での史資料の収集を予定していた。しかし,米国での史資料の収集に必要な旅費が申請時点より大幅に高くなっている。そのため,2023年度は米国での史資料の収集を取り止め,2024年度に1回行うこととしたので,次年度使用額が生じた。これについては,2024年度,米国での史資料の収集に必要な旅費に使用する。
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