2023 Fiscal Year Research-status Report
Reforming Teacher Education for Multicultural Society: Theoretical and Empirical Research of Social Justice Teacher Education
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22K02648
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青木 香代子 茨城大学, 全学教育機構, 准教授 (00793978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森茂 岳雄 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (30201817)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会正義のための教師教育 / 多文化教師教育 / 外国人児童生徒等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多文化化する社会において、多様な背景を持つ児童生徒の学びに対応できる教師教育について、社会正義のための教師教育(Social Justice Teacher Education, 以下SJTE)の視点から、目指される教師の資質・能力を明らかにし、教師教育改革の視点を提出することを目的としている。これまでの教員養成課程や教職課程における外国人児童生徒等教育論や異文化間教育論では、社会正義や差別・抑圧の構造等について批判的に捉え、それに対してはたきかけていくことを目指すSJTEの視点を取り入れた教育は見過ごされがちであった。そのため、本研究ではアメリカを中心に展開されてきたSJTEにおける理論を整理し、日本における教師教育の改革の視点を提出する。 2022年度は、アメリカにおけるSJTEが発展してきた背景及び基本的な理論について整理し、社会正義のための教育実践を行う教師を対象にした教材やワークショップ、レッスンプラン等を提供しているLearning for Justiceが作成している社会正義のためのスタンダードについて検討を行い、SJTEの実践にあたって基準となる領域について検討したほか、アメリカの高等教育におけるSJTEプログラムの事例から、日本におけるSJTEのための視点を提出した(森茂・青木、2023)。 2023年度は、これらの事例の分析について日本国際理解教育学会において報告を行い、参加者からの助言を得たほか、アメリカの高等教育において、SJTEに携わってきた教員・元教員を中心にインタビューを行い、SJTEを実践する上で重要な概念や課題等について調査した。この調査に関する報告を2024年度に行う予定であるほか、引き続き、SJTEのプログラム開発に向けてインタビュー調査を行うとともに、日本におけるSJTEの視点を取り入れたプログラムを研究する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の2022年度は、アメリカにおけるSJTEの背景及びSJTEで目指される資質・能力について社会正義のためのスタンダードの検討をもとに、日本における教師教育プログラムの改革のための視点を示した(森茂・青木、2023)。 2023年度は、アメリカのサンフランシスコ・ベイエリアにおいてSJTEに携わってきた教員・元教員に対してインタビューを行ったほか、現在アメリカの小学校で教鞭をとり、社会正義のための教育を実践している教師にもインタビューを行い、SJTEのプログラムにおいて重要な概念や、SJTEプログラムで目指される教師の資質・能力、実践における課題を探った。また、SJTEに関連するプログラムを持つ大学・大学院を訪問し、授業の見学や学生との交流を行った。さらに、アメリカにおいて人種的特権性を持つ白人教師がいかに自らの特権性に自覚的になり、構造的抑圧を批判的に捉え、多様な背景を持つ生徒を理解し、学びを支えるかに着目した研究から、SJTEにおいて受講生が抑圧や特権性の構造に対して行動することの重要性について検討した(青木2024)。しかしながら、日本におけるSJTEのスタンダードを開発するまでには至らなかったため、引き続き、2024年度はSJTEプログラム分析をもとにスタンダード開発を行う予定である。また、昨年度行ったインタビュー調査について、異文化間教育学会・日本国際理解教育学会等において報告を行う予定であるほか、引き続き、SJTEプログラムの事例研究やインタビュー調査を行い、日本におけるSJTEプログラムの開発を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、これまでに行ったSJTEの理論的研究をさらに進め、SJTEプログラムの分析を行うほか、必要であればSJTEに関わっているアメリカの高等教育の教員に対してインタビューを行う予定である。また、アメリカにおいても日本においてもSJTEに関わる教師は特権性を持つ立場にある者が多いため、特権性や構造的抑圧に対して常に自覚的でありつつ、多様な背景を持つ児童生徒の文化やニーズ、生活について理解し、かれらの学びに深く関われる教師を目指すためのスタンダード開発も行う予定である。 また、日本国内においてこれまで教員養成課程や教職課程において、外国人児童生徒等教育や異文化間教育等に携わってきた大学教員にもコンタクトを取り、SJTEプログラムにおいて必要となる理論や概念についてインタビュー調査を行い、SJTEプログラムやスタンダードの開発を試みる。異文化間教育学会、日本国際理解教育学会等において研究発表を行い、参加者からの助言を得て改善したうえで、報告書をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
2024年度の研究では、主に日本国内において外国人児童生徒等教育に携わってきた関係者へのインタビューを行う予定であるため、国内旅費及び謝金、アメリカにおけるSJTEプログラムに関わる関係者へのインタビューが生じた場合の旅費及び謝金として使用する。また、SJTEに関連する図書の購入、インタビューの文字起こし、インタビューの記録に必要な機器の購入、報告のための英語論文投稿校閲・投稿料、報告書の印刷等に使用する予定である。
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