2023 Fiscal Year Research-status Report
メタ言語能力向上に資する小中学校用国語教育コーパスとデータ駆動型教材開発の研究
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22K02649
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安部 朋世 千葉大学, 教育学部, 教授 (00341967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 修 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30250997)
西垣 知佳子 千葉大学, 教育学部, 教授 (70265354)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタ言語能力 / 接続表現 / 文章構成 / 類義表現 / データ駆動型学習(DDL) |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は以下のことを行った。 [1]国語科DDL教材・コーパスの作成:教材については、接続表現を含む文章の構成について学習する小中学校国語科DDL教材を作成・開発した。具体的には、「AそこでB」という文章について、「そこで」が接続詞の場合の例文aと代名詞「そこ」+格助詞「で」の場合の例文bを比較することで、それぞれの特徴に気づくことを目的とするオンラインアプリを開発した。オンラインアプリについては、子どもたちが書いた文章を教員宛に送付する機能を装備し教員が子どもたちの実態を把握しやすくするとともに、途中にヒントを付け最後に解説を示すことで、子どもたち自身で自学することも可能な仕様にした。また、類義表現について学習する小学校国語科DDL教材として、「楽しい」を述語とする文と「嬉しい」を述語とする文とを比較することで、それぞれの特徴に気づくことを目的とする紙媒体DDL教材を作成した。コーパスについては、昨年度に引き続き、コーパス及び教材開発のためのデータの収集を行った。 [2]実践:小学校4,5,6年及び中学校3年を対象として「AそこでB」国語科DDLアプリを使用した実践を行った。実践の際には、アプリの使い方等についてのアンケートも実施し、アプリ改善のためのデータの収集も行った。また、小学校1年を対象として「楽しい」と「嬉しい」を比較する国語科DDL教材を用いた実践を行った。 [3]検証:2022年度に実践した「AたしかにBしかしC」という文章についての国語科DDL実践の結果の分析・考察を行い、国内学会における口頭発表を踏まえて論文にまとめた。また、教材開発の基礎研究として「ので」と「から」に関する研究を行い国際学会にて口頭発表を行った。さらに、日中大学学術交流シンポジウムにて国語科DDLアプリに関する講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に示す進捗状況から,概ね順調に進展していると考える。 [1]教材及びコーパス作成について:小中学校国語科DDLオンラインアプリの開発を行った。予算の関係で当初の予定を変更し「AそこでB」のみとなったが、オンラインアプリの特性を活かし、児童生徒が自ら言葉の規則性に気づくことができるような仕様の開発を進めるとともに、改善に向けてのデータの収集も行うことができた。コーパスについても、作成のためのデータ収集を進めることができた。 [2]実践について:アプリ開発に時間がかかり年度末の実施となったが、小中学生に対して実践を行うことができた。また、類義表現についても紙媒体ではあるが実践を行うことができた。 [3]検証及び成果発表について:2023年度に実施した「AたしかにBしかしC」国語科DDL実践の結果について分析・考察を行った。そして、その結果について、国内学会においての口頭発表を行い、論文1本にまとめることができた。また、教材開発の基礎研究として「ので」「から」に関する研究を行い、国際学会において口頭発表を行うことができた。さらに、日中大学学術交流シンポジウムにおいて、国語科DDLアプリの開発に関する講演を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究計画と推進方策は以下の通りである。 [1]教材及びコーパス作成について:2023年度に開発した国語科DDLアプリの改良と新たな教材の追加を行う。コーパスについても必要なデータの収集を行う。 [2]について:国語科DDLアプリを使用した授業実践を行い、アプリの効果を検証する。 [3]について:実戦の結果について分析・考察を行い、その成果を学会発表及び論文の形で発表することで、研究の客観性を図るとともに、アプリを可能な形で公開し普及を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定より国語科DDLアプリ開発費用がかかったが、国際学会がオンライン開催となったことで予定より旅費費用が少なくなったこと等により、結果として次年度に繰り越す金額が生じることになった。2024年度も国語科DDLアプリ開発・改良に経費がかかることが予想されるため、繰り越し分についてはアプリ開発費用に充てる予定である。
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