2022 Fiscal Year Research-status Report
6年制導入に伴う薬学教育のジレンマとその解消策-東薬の経験と他大学の比較-
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22K02693
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
別生 伸太郎 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20408686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 教夫 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50318193)
三浦 典子 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (30218036)
黒田 明平 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80266890)
鯉沼 卓真 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60910750)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 6年制 / 薬学 / 教育評価 / キャリア / 就職 / 薬剤師 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬学教育6年制導入に伴い、病院や薬局など薬剤師職に就職する卒業生が増加した。一方、非薬剤師職として企業や行政へ就職する卒業生も依然として一定数存在する。この大きな薬学教育の構造変化を、キャリア選択という視点から評価した報告はない。本研究では、本学で実施した卒業生調査を活用し、卒業後のキャリアに基づく6年制薬学教育の評価を行った。対象とする教育は「専門講義」「実務実習」「卒論研究」の3項目とした。各々の教育を「満足度」と社会に出た時の「役立ち度」で2次元展開し、教育カリキュラムとしての評価を行った。また、教育プログラムに対する「熱心度」で学習意欲を評価した。 「専門講義」の役立ち度は、6年制導入に伴い薬剤師職において高まる傾向であるのに対して、非薬剤師職では満足度が大きく低下した。すなわち、薬剤師職を選択した者は従来の学問的な講義(薬学教育プログラム)に加えて、実践的な講義(薬剤師教育プログラム)が導入されたことを充実した学びへの変化と捉えているが、非薬剤師職を選択した者はこの変化に不満を感じているということである。非薬剤師職を選択する学生は、両プログラムのいずれに集中すべきかジレンマに陥り、それが「専門講義」への不満となっていると考えられた。 「卒論研究」と「実務実習」は6年制移行で特に大きなカリキュラム改革が行われた。前者は薬学教育、後者は薬剤師教育の代表的なプログラムである。これらの教育項目は職種を問わず6年制導入により満足度と役立ち度が上昇し、好ましい教育改革となっていた。しかし、卒業時に非薬剤師職を選択した卒業生にとっては、卒論研究に熱心な学生ほど実務実習に対し熱心になれていなかった。「薬を創る薬学教育」と「薬を安全に使う薬剤師教育」のカリキュラムバランスが薬剤師職にとっては適切な配分となっているが、非薬剤師職にとっては必ずしも適切でないことを示唆する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的に沿って、2022年度は上述した本学レベルのデータ解析を行った。現在、6年制薬学教育導入が学生にもたらしたもう一つの観点として、卒論研究と国家試験対策のための勉強の狭間で学生が陥るジレンマの分析を行っている。当該分析は先に実施した卒業生調査、ならびに新たに構築した本学の教学データベースを活用し、計画通り順調に推移している。一方で、教員の職歴・研究テーマ・研究業績・研究室構成員の薬剤師比率など教員面のデータベース構築と、このデータベースを基にした6年制薬学教育導入がもたらした教員が陥る2つの対立軸におけるジレンマ(「薬学研究と薬剤師教育」「創薬研究と医療薬学研究」)に関する分析は、評価方法について検討中である。したがって、現在までの研究の進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年度の成果を踏まえて6年制薬学教育導入がもたらした「卒論研究と国家試験対策のための勉強」の挾間で学生が陥るジレンマの分析について継続的に研究を展開する。更に、本学教員レベルのデータベース構築と、全国レベルのデータ収集・解析を研究計画に従い実施する。そして、2023年度は特に前者のデータベースを活用して6年制薬学教育導入がもたらした教員が陥るジレンマを分析し、改めてが薬学6年制が教育研究現場に与えたインパクトやジレンマの構造をデータに基づいて明らかとすることで、今後の薬学教育改革に資する一つの道筋を提示することを目的とする。
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Causes of Carryover |
当初計画では、研究代表者と研究分担者は、それぞれ、学会出張の為の研修費を計上していた。研究の進捗状況と国内のコロナ感染状況を踏まえて、本年度は学会出張を取りやめた。そのため、相当額の繰越額が発生している。 2023年度は全国レベルのデータベース作成を新たに構築するため、データ購入費と解析のための機器・ソフトに対して予算を執行する予定である。そして解析により得た知見を、学会発表・論文投稿するために予算を執行する計画である。
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