2022 Fiscal Year Research-status Report
適応的熟達化を見据えたダブル・ループ学習へ導く教職大学院の指導体制モデルの研究
Project/Area Number |
22K02713
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
宮田 佳緒里 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (10759434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝邊 和成 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30379862)
伊藤 博之 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (80243343)
山中 一英 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50304142)
別惣 淳二 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90304146)
松田 充 兵庫教育大学, その他部局等, 講師 (80845991)
奥村 好美 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (30758991)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教職大学院のカリキュラム開発 / ダブル・ループ学習の起点となるリソース / 適応的熟達化 / 科目間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
「令和の日本型学校教育」を担う教師を育成するうえで,教職大学院が取り組むべき課題の一つが教師の学習観・授業観の転換である。これには,大学院生である現職教師や教職志望者を,自身の認識枠組みを再考し再構築するダブル・ループ学習へ導くこと,ひいては状況に応じて適切な方法を選択・創造できる適応的熟達化へと導くことが重要となる。しかし,そのための具体策はこれまで十分に明らかにされてこなかった。そこで本研究は,教職大学院において,適応的熟達化を見据えたダブル・ループ学習を促すための指導体制モデルを提案することを目的とする。 本年度は,適応的熟達化を見据えたダブル・ループ学習を促すためのカリキュラムの開発と実践を行った。適応的熟達化には効率性と革新性という2つの次元のバランスよい進展が必要とされ,ダブル・ループ学習の促進は革新性次元の進展に相当する。そこで,ダブル・ループ学習の起点となるリソースとして,自らの過去の実践事例,学術理論,他者の実践例の3点に着目し,これらを導入したカリキュラムを開発した。一方,効率性次元の進展は,手続き的知識と概念的知識をよく関連づけて習得することでなされる。そこで,カリキュラム構成科目の担当者で各科目の目標や扱う概念,進度,学習形態等の調整を行う「科目間連携」を運営方針とし,カリキュラムで扱う諸概念の意味理解を図ることとした。 こうして開発されたカリキュラム及び運営方針に基づき,教職大学院の1年次生を対象とした授業実践を行い,効果の検証を行った。1年次前期の実践では,科目間連携により概念的理解が促され適応的熟達化への方向付けができつつあることが確認された。ダブル・ループ学習の生起については,一部の取り組みの有効性が示されたものの,有効性の限定的な取り組みも確認されるなど課題が残った。それを踏まえ,1年次後期の実践を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダブル・ループ学習の起点となりうるリソースを整理し,それに基づき教職大学院のカリキュラムを開発した。また,カリキュラムの運営方針として科目間連携を採用した。教職大学院1年次の学生を対象に授業実践を行い,前期開講科目の実践については成果と課題を論文にて公表した。以上のことから,全体として概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の後期に行った授業実践の成果と課題を明らかにし,論文としてまとめる。また,本年度1年間のカリキュラムとその運営方法の実際を学会発表し,学会誌に投稿する。 1年次のカリキュラムについては,本年度の成果と課題を踏まえて改善し,本年度の教職大学院1年次生を対象に実施する。1年次のカリキュラムは専門科目が中心だったのに対し,2年次のカリキュラムは実習科目が中心となるため,2年次の運営方針を新たに考案する。考案した運営方針に従い,教職大学院2年次の学生を対象に実践を行う。
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Causes of Carryover |
申請時は実践の効果検証に際し,質問紙調査に加えて面接調査を行う予定であった。しかし,質問紙調査のみでも必要なデータが得られたため,協力者の負担を考慮し面接調査を行わなかった。それにより文字おこしの費用がかからなかった。また,論文投稿のためのネイティブチェックの費用が予定よりも安価であった。以上のような状況から,当該差額が生じた。翌年度は本年度の成果発表として,国内学会での発表を複数回予定しているため,学会参加費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)