2023 Fiscal Year Research-status Report
産学連携の共同研究における学生の関与に関する調査研究
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22K02715
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秋丸 國廣 愛媛大学, 社会連携推進機構, 教授 (50281184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 悟史 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (40380307)
吉用 武史 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (10606792)
荒川 弘 愛媛大学, 産学連携推進センター, 准教授 (00555279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 産学連携 / 共同研究 / 学生教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
共同研究制度における学生の関与について、社会人基礎力を学ぶことも考慮したプログラム化などの制度改革について検討することを目的に、調査研究を行い、大学の教育・研究機能に相反せず学生にとっても有益な産学連携活動を推進する制度について考察することとした。 令和5年度は、中国四国地方の国立大学を対象として、研究者向けの調査を実施する予定であったが、プレ調査で作成した調査票では、各大学において共同研究を進めるうえでの学生の関与に関するマネジメントが異なっており、その点を考慮する必要があることが判明した。そこで、まずは企業と連携した取り組みで学生が関与する事例として、令和4年度及び令和5年度産学連携学会関西・中国四国支部研究事例発表会で発表があった教員等へヒアリング調査を行った。 ヒアリング調査の結果、文系・理系を問わず、学生は社会課題や産業界の課題に興味をもっていること、文系では学生が主体となってプロジェクトとして取り組んでいる事例があること、幅広で多様なカリキュラムとして産学が連携している事例があること、企業との連携で重要視される学生を対象としたデータ管理・秘密情報管理が徹底できている事例があること、がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業と連携した共同研究における学生の関与について、ヒアリング調査を実施した。調査を実施した大学は、令和4年度及び令和5年度産学連携学会関西・中国四国支部研究事例発表会で発表があった教員(私立A大学経済系学部ゼミ、私立B大学産学連携担当教員)及びC国立大学(農学系学部教員)を対象とした。A大学では、従来近隣製造系企業からの技術相談が多かったが、近年は技術相談に限らず、企業が抱える各種相談へと幅が広がっており、件数も増加し、加えて技術相談から共同研究へと進展するケースも増えていた。芸術系のB大学では、企業からデザイン作成依頼等に対して教員関与のもと学生が対応することが多いが、共同研究制度や学術指導制度を利用することはほとんどなく、著作権のマネジメントや成功報酬の受け取りなどにおいて課題があると思われた。C大学のヒアリングを行った研究室では、研究室でのデータ管理・秘密情報管理のため、学生に対してその重要性を説明したうえで、秘密保持に関する誓約書にサインさせるなど、徹底した産学連携マネジメントが行われていたが、学部レベルでは未達とのことであった。 大学により取り組み方針やマネジメント状況が異なっており、全国調査と同時に方針やマネジメントについても調査する必要があると思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
全国の国立大学を対象として、学生の共同研究への関与におけるマネジメント制度について産学連携部署を対象に調査することを追加して行い、各大学において共同研究実施件数の比較的多い教員を対象に、共同研究における学生の関与に関する実態調査を行う。また、産学連携取り組みで学生が関わる事例についてヒアリング調査を引き続き行い、特に大学発ベンチャーとの連携や地域産学官連携の観点から、課題を抽出する。これらの結果から、共同研究類型別に共同研究実施課題についての学生の関与に関して解析を行う。 得られた成果は、産学連携学会を中心に大会での発表や論文投稿を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大で、研究打合せはオンラインシステムも併用して行い、またヒアリング調査の実施において制限があったため、当初予定の旅費予算の余剰が生じた。今年度は、新たにヒアリング調査を追加するが、概ね想定した範囲内であることから、残額を含め効率的な予算執行となる予定である。
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