2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K02717
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
西郡 大 佐賀大学, アドミッションセンター, 教授 (30542328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大学入試 / 多面的評価 / 志願者本人記載資料 / 教育的効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,一般選抜における本人記載資料に注目し,受験者のアドミッション・ポリシーの理解促進や大学と受験者のミスマッチ解消にとって,記載事項として何を求めることが有効なのか,どのような資料作成のプロセスを受験者に経験させることが効果的なのかについて,メタ認知,動機づけの理論,進路選択行動といった心理メカニズムの観点から明らかにすることである。 研究初年度は,所属大学の現行入試で提出された本人記載資料と入学予定者を対象として実施した質問紙調査を利用した分析を行った。具体的には,志願者本人が自分の高校時代の取り組みを振り返り,大学入学後の学びと摺り合わせて言語化することが,アドミッション・ポリシー理解の促進や志望学部とのミスマッチ解消に効果的であるのかを検討した。その結果,「これまで自分が頑張ってきたことを振り返る機会となった」,「志望学部に入学したいという意思が固まった」,「文章(言語化)にしたことで,自分の進学意識が明確になった」という進路意識の明確化がみられた。また,これらの心理的な変化に影響を与えていたのは,「最も自信のある取り組みの内容を掘り下げてアピールした」及び「大学入学後に何を学ぶかを分析してアピールできる点を探した」という戦略性と,「志望学部・学科等のアドミッション・ポリシーを調べた」及び「志望学部・学科等の学びの内容やカリキュラムを調べた」という具体的な対策行動であることが明らかになった。 これらの結果は論文投稿し,「大学入試研究ジャーナル」に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の計画では,「①応募者の所属大学の現行入試で提出された本人記載資料と入学予定者を対象として実施した質問紙調査を利用し,提出資料の内容と対策等の実態について関係性を分析する」,「②受験者と大学のミスマッチ解消を目的とした入試や取り組みを行っている大学を対象に聞き取り調査を行い,大学視点で見たマッチングに必要な要因と課題を明確にする。」,「③進路選択やキャリア教育に関する理論や概念などについての文献調査を行い,本研究で注目する理論,概念および心理的機能や教育機能を明確にする」を挙げていた。①では分析結果を論文投稿し,「大学入試研究ジャーナル」に掲載された。また②③についても,情報収集が終了し,2年目の計画に向けた準備が整っている。以上のことから,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の計画は,1年目で明確にした概念や理論枠組みを踏まえて,教育機能として有効だと考えられるメカニズムの仮説を設定し,大学生および入学予定者を対象とした質問紙調査によって,仮説を実証的に検証することである。 これらを計画通り進めることで,問題なく研究が進捗するものと考えている。
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Causes of Carryover |
初年度に計画していた調査について,他の調査とセットにして翌年度に効果的に実施するようにしたため。
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