2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Design of Autonomy Support in Higher Education: Focusing on Providing Choices
Project/Area Number |
22K02733
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology , Junior College |
Principal Investigator |
藤井 厚紀 福岡工業大学短期大学部, 情報メディア学科, 教授 (10364100)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 学習方略 / GPA / 嗜好 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度における主な研究実績は,次の2点である。 1)大学生849名を対象として,自律性支援の認知と学習方略の嗜好・使用に関する調査を行った。その結果,大学教員による自律性支援の主な内容として,授業の学習目標や重要なポイントの提示については多くなされていたが,学習方法・教材・課題の選択肢の提供や,学生のニーズをくみ取る態度については少ないことが示された。また,学生の多くが対面授業を中心に受講していたものの,学生の対面・遠隔授業に対する嗜好については,ほぼ均等に分散していた。そのうち,対面授業を強く好む学生については,実際に受講した授業形態に関わらず高い成績(GPA)を収めており,遠隔授業を少し好む学生については特に遠隔授業において良い成績を収めていることがわかった。一方,特定の授業形態に好みを持たない学生の成績は低い傾向にあった。これらの結果から,学生のニーズや好みに沿った柔軟で個別化された学修環境の導入の必要性と可能性が示唆された。 2)ICTの使用により強化された学びのユニバーサルデザイン(UDL)の枠組みをプログラミング科目に導入した。授業における学習方法に選択肢(対面・遠隔,教員に質問,友人と相談,Web検索など)を設け,受講生に対して明示的に提供した。受講生は,自身のニーズや状況に基づいて各学習方法を選択しながら,15週のコースを概ね良好に遂行したことが確認された。一部の学生は,コースの柔軟性に対して肯定的に評価した。さらに,学生の学習行動や態度から,教員は学生の潜在的なニーズを新たに認識することができた。これらの結果から,ICTを活用したUDLの枠組みの導入は,学習者の多様性に対する教員の認識の促進や,自律的かつ包摂的な学修環境の構築に有用であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,2022年度に行った授業実践およびアンケートの分析結果をもとに,2023年度において2編の学術論文を出版することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度(最終年度)では,申請者らが担当している授業科目においてICTを活用した自律性支援の実践を行い,将来の研究に向けた知見を得ることを目標とする。また,2023年度における研究成果の内容を国際会議・国内学会で発表するとともに,本研究課題の総括を行う。
|
Causes of Carryover |
当初予算計上していた学術論文出版費の一部について,所属機関の研究助成金で賄うことができたため,次年度使用額が生じた。当該差額については,2024年度において更にもう1つの学術論文を出版するために必要な校正費用・APCに充てたいと考えている。
|