2023 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国の橋梁技術力を強化する実践的教育モデルの構築
Project/Area Number |
22K02734
|
Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
松尾 優子 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (60621216)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅見 廣樹 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (00547961)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 橋梁技術者教育 / モンゴル高専 / 橋梁振動実験 / 鋼材暴露試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、橋梁の簡易的な健全度評価手法の開発と、発展途上国における橋梁技術者育成教育モデルを構築することを目的としている。令和5年度は、以下のことを実施した。 1)橋梁振動実験:日本国内で健全なPC橋と老朽化したPC橋を対象に簡易的な橋梁振動実験を行い、損傷がある橋梁の振動特性について検討を行った。令和5年度は、加振方法の違いによるPC橋の振動特性(固有振動数)を対象に実施した。これまで劣化が著しい橋梁では固有振動数の値のばらつきが非常に大きかったが、ある加振条件によりばらつきが抑えられることを確認した。この成果について、令和6年9月に開催される土木学会第79回年次学術講演会において発表する予定である。 2)鋼材腐食:暴露していた鋼板SS400をモンゴル(12月)および香港(3月)に回収し、腐食量、腐食深さの測定を行った。暴露3年後(R7)の腐食量は今後測定する予定である。 3)教育モデルの構築:モンゴルコーセン技術カレッジの学生を対象に、現地の先生と共同して「橋梁維持管理」をテーマとした卒業研究に携わった。卒業研究では12月にはモンゴルに行き、現地の学生と日本の設計コンサルタントの方とともに、橋梁に関する講義を行い、ウランバートル市内の橋梁2橋にて橋梁点検を行った。また点検後の損傷要因を検討するにあたりオンラインで助言等を行った。いずれの橋梁も主な損傷要因は施工時の不良・欠陥などによる初期欠陥、凍結融解による劣化であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、途上国の橋梁教育に関してはモンゴルの学生を対象に橋梁維持管理について実際に学ぶことができた。モンゴルコーセン技術カレッジでは橋梁工学に関する講義がなかったが、卒業研究に参加した学生たちは、非常に興味を持って意欲的に取り組んでくれたため一定の効果があったと推察される。 暴露試験では、昨年変更した計画に基づいて、暴露試験片の設置および回収は予定通り進んでいる。 橋梁振動実験も、昨年度は現地で5回ほど振動実験を行っているが、損傷した橋梁の固有振動数のばらつきが大きく評価までには至っていない。しかし、総合的に勘案し、「おおむね順調に進展している」との評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、引き続き橋梁振動実験を国内にて実施する。これまで固有振動数を対象に行ってきたが、損傷のある橋梁はばらつきが多いため、今年度はたわみ角に着目して行う予定である。ますはモデル実験で実験の妥当性や方法を検討し、数回程度の現地試験を予定している。 腐食の暴露試験に関しては、モンゴル、香港、苫小牧(北海道)の1年暴露後の試験片から腐食量、腐食深さを測定し、温湿度やACMの付着塩分量などからその関係性を調査する。 橋梁教育に関しては、引き続きモンゴル高専の教員とともに協力して進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、昨年度分の香港行きの旅費の支出を抑えられたこと、またモンゴル国への出張旅費がオフシーズンだったため安価であったことがあげられる。しかし、円安やオイルの値上がりにより次年度以降外国旅費が急騰、また国内においても交通費、宿泊費ともに値上がりしており、その補填に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)