2023 Fiscal Year Research-status Report
持続的な「知の良循環」を実現するための大学等アカデミアの知財に関する研究
Project/Area Number |
22K02735
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大藤 康一朗 広島大学, 学術・社会連携室, 特任学術研究員 (20767850)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 知的財産権 / 産学連携 / スタートアップ / 大学経営 / 新株予約権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アカデミアが抱える企業との共同出願や共同研究の取扱いに関する問題について取り組むものである。特許法によると、アカデミアと企業との共同出願の場合、設置法等で事業に制約のあるアカデミアでは自己実施に制限がかかるため、特許の価値に不均衡が生じることとなる。本研究では知の良循環を促進するために、アカデミアにおける民間企業との最適な共同出願や共同研究の在り方を検討する。 特に、昨今、オープンイノベーションにおける重要なプレイヤーとして大学発スタートアップが着目を浴びている。スタートアップとの連携を通じて創出された知的財産等の最大活用をもって事業価値の総和を最大化することを目的に、特許庁と経済産業省より「モデル契約書」が公開されている。本研究ではこの状況を鑑み、特にスタートアップに着目した知財マネジメント、規程整備の在り方を検討する。 2023年度は、研究代表者の所属変更に伴う環境変化を機に、中国地方・四国地方の大学におけるスタートアップに関する規程整備状況の調査を行うこととした。中国・四国地方の16大学に訪問を行い、調査を実施した。2023年7月の現職着任から1年足らずであるが、既に中国地方・四国地方の16大学担当者に対面で面談し、関係性を構築している。 初期調査の結果、国立大学においてはスタートアップと大学とが連携するために必要な諸規定整備は完了しているところが多ことがわかった。一方。公立大学及び私立大学においては整備が不完全である大学も多い。また、公立・私立大は、法人設置者による方針等で知的財産の活用方法として株式・新株予約権の保有に制限がかかる場合があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更に伴う環境変化により、当初予定していた医薬系分野に特化した産学連携の課題分析が困難となった。代替として、大学発スタートアップにおける外部環境の良化を背景に、中国・四国地方の大学におけるスタートアップに関する問題分析に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
大学における共同出願、共同研究に関する課題分析を実施することについては変更がない。 2023年7月の現職着任から1年足らずであるが、既に中国地方・四国地方の16大学担当者に対面で面談し、関係性を構築している。今後は、2023年度に初期分析を行った内容を元に、現在の産学連携体制における問題を分析し、スタートアップを中心とした企業との連携に関する制度・契約に関する最適化を実施していく。
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Causes of Carryover |
2023年度の所属変更及び環境変化により、当初予定していた大学へのヒアリングや学会発表を見送らざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。 2024年度は、当該金額を協力大学へのヒアリングに係る出張旅費、学会発表に係る旅費、参考図書購入経費、アンケート調査に関する旅費等に使用する。
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