2023 Fiscal Year Research-status Report
「主体的・対話的で深い学び」を支える点字教科書の編集課題に関する教科横断的研究
Project/Area Number |
22K02743
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
青柳 まゆみ 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40550562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 まゆ 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 講師 (20634893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 点字教科書 / 視覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.QRコードの保障に関する研究 現行の点字教科書では、QRコードを介したデジタルコンテンツへのアクセスが保障されていない。しかし、とりわけ外国語科の教科書で提供されるQRコードについては音声データが中心であり、点字を使用する児童生徒にとっても、主体的な学習の教材になり得る可能性が高い。そこで本研究では、原典教科書におけるQRコードの掲載状況(コンテンツの内容、ウェブアクセシビリティ等)を詳細に分析した上で、『特別支援学校(視覚障害)中学部点字教科書 英語』において、生徒がQRコードを主体的に活用できる環境の整備について検討している。 原典教科書におけるQRコードのコンテンツは、その大半が教科書に印字された内容の音声データであり、点字使用の生徒にとても有効な教材となることが予想された。しかし、教科書会社6社のQRコードのウェブアクセシビリティについては、スクリーンリーダーを介した操作では十分にアクセスできない状況が確認された。 2.教科書分析を踏まえた補助教材の検討 触図の表現方法の一つである投影図に焦点を当てて小学部算数科の教科書分析を行ったところ、求積を含む立体図形に関する学習において、原典教科書の見取図の約半数が投影図に変更されていた。特に体積を求める学習内容で、投影図は多く用いられていた。教材の提案では、投影図の仕組みを学習する教材として、園芸用スポンジを用いた型押し教材を作成し、有用性を検討した。盲学校勤務の点字使用の教員から、盲児童生徒が投影図の仕組みを学習する補助教材として、本教材は理解の一助となるという評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原典教科書のQRコンテンツを本研究に使用するための協議・契約等を慎重に行う必要が生じたため、盲学校の生徒を対象とした実践研究への着手が、当初の計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ウェブアクセシビリティに配慮したQRコードを本研究用に作成した上で、生徒および教員を対象とした実践研究を行う。 また、点字教科書編集における課題を教科横断的に整理するために、各教科の編集委員等を対象としたインタビュー調査を実施する。
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Causes of Carryover |
盲学校生徒および教員を対象とした実践研究の準備に想定以上の時間がかかり、着手が遅れたため。繰り越し分の助成金は、研究協力校への旅費、実践研究に必要な機材の購入等に使用する。
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