2022 Fiscal Year Research-status Report
極低出生体重児に対する視覚発達支援は読み書き困難症状の改善につながるか
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22K02755
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
阿部 聡子 (野口聡子) 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (60792215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 勝昭 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (50307542)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 学童期極低出生体重児 / 衝動性眼球運動 / 滑動性眼球運動 / 視機能症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)極低出生体重で出生した学童期の児における眼球運動異常と周産期状況、知能検査との関連について解析を行った。当院フォローアップ外来を定期受診している6から9歳の児42名について直接観察法(NSUCO)による眼球運動検査を行い滑動性眼球運動と衝動性眼球運動を確認した。対象は在胎週数23-37週(中央値27)、出生体重441-1483g(中央値911)、脳室周囲白質軟化2名、重症脳室内出血はいなかった。滑動性眼球運動は29%、衝動性眼球運動は33%の児が年齢ごとの基準値未満であった。性別、在胎週数、出生体重、未熟児網膜症へのレーザー治療歴は眼球運動有無による違いは無かった。ウェクスラー式知能検査(WISCⅣ)の全検査、下位項目の平均値を比較し眼球運動有無による有意な差を認めなかった。 2)極低出生体重で出生した学童期の児の学習や生活に関わる視覚関連症状について検討を行った。1500g未満で出生しWISCⅣで全検査IQ75以上の小学2-3年生の児33名(うち31名は通常学級)を対象に「視機能チェックリスト学童期用」(大阪医科大学LDセンター奥村智人氏作成)を用いて症状の有無を確認した。対象は出生体重460-1483(中央値880g)、在胎週数23-37(中央値27)、調査時年齢8歳2カ月(中央値)、直近のWISC全検査IQ平均87±7であった。15名(45%)が眼鏡を使用(矯正視力0.8-1.0)していた。眼球運動異常なし群では該当項目数が平均4個であったが眼球運動異常あり群では平均8個であった。眼球運動異常あり群となし群で該当項目内容を比較すると「文の終わりを省略して読んだり、読み替える」「行や列を読み飛ばす」の項目は眼球運動異常あり群で有意に多く、眼球運動の異常が読むことの苦手さと関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に予定していた当院で出生した極低出生体重児における眼球運動異常の頻度や周産期状況との関連、学校生活や学習との関連は明らかにできた。 眼球運動の苦手をもつ児を対象とした視覚機能トレーニングについてはプロトコールを作成し倫理委員会の承認を得ているが初年度は実施できておらず、準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
眼球運動の異常を認め、学校生活や学習に困りごとをもつ児に対し視覚機能トレーニングや環境調整による介入を行い、開始から3か月後に再評価を行う。参加者が少ない場合は、対象年齢の拡大を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は研究補助員の雇用を行わず研究者のみでデータ集積と解析を行ったため人件費が次年度に持ち越しとなった。また物品の納入遅れにより購入費用が次年度に持ち越しとなっている。次年度は介入プログラム参加者への対応などのため研究補助員の雇用が必要となる見込みである。
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Research Products
(2 results)