2023 Fiscal Year Research-status Report
当事者のエンパワメントに立脚した病気療養児の復学支援システム構築に関する研究
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22K02758
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤井 慶博 秋田大学, 教育学研究科, 教授 (20711542)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 病気療養児 / 復学支援 / 本人 |
Outline of Annual Research Achievements |
病気療養児がスムーズに復学するため復学支援会議に本人が参加することについて関係者へのインタビュー調査により検討した。結果、復学支援会議に本人が参加することに概ね肯定的な意見が得られた。その理由として、セルフアドボカシー、本人の成長、復学に対する安心感・期待感,周囲の理解促進があげられた。一方で、児童生徒個々の実態を考慮する必要性や本人のニーズと学校対応の格差、本人参加のための条件整備が求められていた。会議で取り上げるべき内容として、校内支援体制、教育支援、心身のケア、関係者との連携があげられていた。以上の結果について論文として発表した。 また、病気療養のため入院した生徒の復学支援会議を実施した。会議には、本人・保護者のほか、在籍校、病院、特別支援学校のサポート部署、学習ボランティア団体が参加した。これら関係機関の情報共有のツールとして「復学応援計画」を活用した。生徒は順調に復学することができた。 復学支援会議に本人・保護者が参加することの有効性について、当事者はもとより、関係機関からの評価が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」とした理由として、第2年次(2023年度)の計画では、第1年次(2022年度)で検討した復学支援システムの具体的内容の様式等(案)を実際の病気療養児の復学支援の場において活用し、その効果・課題を検証することとし、調査対象数を3事例程度を想定していたが、2事例しか検討できなかったことによる。 ただ、3年次(2024年度)にまたがって本システムを活用している児童生徒がいるので、3年次(2024年度)にまとめて検討を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1年次(2022年度)で検討した復学支援システムの具体的内容の様式等を実際の病気療養児の復学支援の場において活用し、その効果・課題を検証する。そのため、復学支援の対象となる児童生徒・保護者及び地元校関係者(計6事例程度)を対象にインタビュー調査を中心に行い,質的データ分析により,当事者の復学支援に関する主体的な態度や復学後の適応状況等,システムの効果・課題を検証する。病気療養児等の状況は個々により異なるため、対象者は属性ごとに幅広く選出し、システムの汎用性を高める。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会がオンライン開催になったり、県外の出張が予定より少なかったことで旅費に不要額が生じた。また、予定していた物品の購入がおくれたことによる。 次年度は学会が対面開催になるほか、物品の購入も計画通り進めていく予定である。
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