2023 Fiscal Year Research-status Report
盲ろう及び重複障害児への共創コミュニケーションアプローチに基づく学習支援
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22K02761
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
中村 保和 群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (60467131)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 学習 / 重度・重複障害 / 実践研究 / 共創コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、昨年度に引き続き以下の3名の自宅を訪問して学習支援を行った。すなわち、うち1名は、県内の盲学校重複障害学級(高等部)を卒業した弱視に知的障害をあわせ有する対象者で、文字学習(墨字)に向けた初期学習を実践した。もう1名は重度の肢体不自由と知的障害を有する先天性ミオパチーの児童であり、これまでスイッチ機器を用いたパソコン操作を介したコミュニケーション支援を行ってきており、その経過のなかで写真や絵、図形の弁別課題を実行した。この対象児においては、視線入力のためのパソコンとソフトを購入し、視線入力訓練のためのゲームアプリを使用するなどして、特定の場所に視線を向けたり、視線を固定(注視)するための予備学習を行った。最後の1名は、脊髄性筋委縮症Ⅰ型の対象者であり、既に視線入力ソフトを用いた文章表記によるコミュニケーション支援を行っている。今年度においては、対象者の過去経験を手紙(あるいは壁紙新聞)の形式で記述する学習を行い、書くことを通して他者とのコミュニケーションの機会を広げていくことを試みた。 上記の対象児(者)に対する学習支援においては、すべての場面をデジタルビデオカメラで撮影し、実践資料(映像資料)として蓄積した。これらの実践資料は、共創コミュニケーション」の観点から学習として分析するとともに、得られた知見を基に新たな学習支援を実践するための基礎資料とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象児(者)らの健康上状態はおおむね良好であり(体調不良等で家庭訪問が中断されることはほとんどないため)、家庭訪問による学習支援が継続できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度となるため、対象児(者)らへの学習支援を継続し、実践資料の蓄積を目指していく。あわせて、これらの実践映像資料の分析を通して、感覚障害を有する重複障害児や、重度の肢体不自由と知的障害などをあわせ有する重複障害児への「対話」に基づく学習支援の展開の様相を重層的に明らかにするための総括を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった教材について、対象児(者)らに提示する学習内容の状況により購入が不要となったため、次年度の新たな学習支援の際に購入する費用として繰り越すこととした。
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