2022 Fiscal Year Research-status Report
偽文字の筆順を用いた漢字書字障害の早期発見ツールの開発
Project/Area Number |
22K02792
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北原 光 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (70882710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島川 修一 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (40465620)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 漢字書字障害 / 学習障害 / 筆順 / 偽文字 |
Outline of Annual Research Achievements |
漢字書字障害は限局性学習症/学習障害(LD)の1つであるが、知的水準に問題がなく読字困難がないため、教育の現場で見逃されやすく、早期支援が不十分である。LDを教育現場で発見し、学習支援を直ちに提供するためには、LDを簡易に教育の現場で教員が判断できるスクリーニング方法が必要である。 児童は学年によって習得している漢字は異なるため、学年毎に異なる漢字の筆順の正しさを評価することは煩雑で教育の現場で使用する診断ツールとしては現実的でない。 申請者らは、漢字の画要素からなる13個の図形(偽文字)を作成し、その筆順が、成人で選択される筆順と一致する割合が高い小児ほど、漢字書字の成績が良いことを発見した。この結果から、13個の偽文字を書く際の筆順が成人の筆順と大きく異なる場合は漢字書字障害の診断マーカーになると考えた。 研究計画として、まず、偽文字と小学校1年生で習う漢字の筆順を記録するソフトを開発した。そのソフトをインストールしたタブレット端末を用いて、一般校に通学する小学1-6年生までの児童約600名を対象に、偽文字を書く際の偽文字標準筆順と筆順を記録し、その筆順の年齢別推移の標準値を作成する。また漢字書字障害の有無と、偽文字を書く際の筆順との関連性を評価する。さらに、精度評価として、感度・特異度を算出し、偽文字標準筆順一致率が漢字書字障害のスクリーニング方法として使用可能か検証する。 本研究で開発を目指している、児童に偽文字を書かせて筆順を評価するツールは簡便であり、病院受診や煩雑な心理検査より先に教育現場で漢字書字障害を早期発見・早期支援開始につながることが期待できる。また、漢字書字と筆順の正確性の関連性について、漢字書字障害の病態研究に新たな進展をもたらすものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに偽文字と小学校1年生で習う漢字の筆順を記録するソフトを開発した。タブレット端末に、表示された文字を空白マスに書かせ、そのストロークを記録した。また、それぞれの児童の漢字能力を評価するため、標準漢字読み書き習得尺度(SAKLA)を施行することとした。ソフトをインストールしたタブレット端末を用いて、一般校に通学する小学1-6年生までの児童約600名を対象としたデータ取得を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在小学生被検者のストロークデータの取得まで終えており、今後は記録、解析に進む予定である。ただストロークデータから筆順を読み取る作業は手作業で行っており、膨大なデータ解析になるため時間がかかることが予想される。そのため書き順の採点についてはアルバイトに委託することとした。当初の想定以上にタブレット端末を小児が扱う際にミスタッチや教示の勘違いが多く発生していた。正確かつ解析を容易にするため、採点/データ記録方法をこまかく取り決めて筆順の採点を行うこととしている。
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Causes of Carryover |
被検者からのデータは取得しているものの、今年度はデータ解析には進まなかったため、データ解析に用いる人件費は来年度に使用するために計上しています。
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