2023 Fiscal Year Research-status Report
大学院生向け研究公正教育プログラムの質の向上に向けた熟達度測定テストの開発
Project/Area Number |
22K02833
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
市田 秀樹 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (50379129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 尚志 大阪成蹊大学, 経営学部, 准教授 (60467644)
中村 征樹 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (90361667)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 研究公正 / 研究倫理 / 熟達度モデル / レポート論題 |
Outline of Annual Research Achievements |
責任ある研究活動の推進に向けて重要な役割を担っているのが,研究公正教育である.とりわけ,大学院生(不正事案発生時点)が関与する研究不正事案が,引き続き,発生しており,大学院生を対象とした研究公正教育の実効性を高めていくことが不可欠である.本研究では,大学院生向けの研究公正教育プログラムにおいて,研究を適切に進めていくための知識の理解にとどまらず,その知識を研究現場で活用するためのスキル等の能力について,どの程度身に付いたか,研究公正に対する意識の変化があったかについて,その能力の変化を熟達度ととして評価し測定するためのテストを開発することを目的に以下の2点を実施する.(1) 研究公正の熟達度(『リテラシー』『スキル』『行動』が能力として含まれる)に関して,3段階程度の熟達モデルを解明する.(2)研究公正に関する『知識(リテラシー)』の獲得の評価だけでなく,公正な研究活動をすすめる上で欠かすことの出来ない『スキル』『行動』を評価するための測定テストを(1)を踏まえて開発する.上記の本研究を進めることで,研究公正教育プログラムの学修効果を評価し,その質の向上に寄与することを目指す. 2023年度においては,2022年度において作成した熟達度に基づく学修者評価用ルーブリックを用いて,学修者のレポート課題の回答から研究公正に関する「リテラシー」「スキル」「行動」を評価するためのシナリオを作成し,対象科目の中で実践した.また,質問紙を用いた大学院生の研究公正に関する意識調査を行うことで,熟達度モデル検討にあたっての基礎データの収集を引き続き行った.2024年度はこれらの分析および検討と,評価テストに用いるシナリオの開発を継続する.これまでに開発したシナリオの特徴を評価することで,大学院生向けの研究公正教育プログラムで活用できるテストの検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度においては,当初計画していた研究実施項目に対して【1-1】質問紙を用いた大学院生の研究公正に関する意識調査,【1-2】大学院生の「リテラシー」「スキル」「行動」に関する評価内容の検討,【2-1】熟達度を明らかにするためのシナリオを検討,【2-2 】学修者の研究公正時頃に関連する記述回答内容の評価を実施した. 特に【1-2】においては,3段階程度の熟達度モテルを設定し,「リテラシー」「スキル」「行動」の3つの観点から評価するためのルーブリックを作成した.【2-1】においては,熟達度モテルにしたがって評価することを目的としたシナリオを作成し,学修者の協力を得て研究公正に関連する記述回答の収集・評価を行った,その分析を進める中で修士課程と博士課程の学修者間で若干の差異があることが見出している.このことは.本研究において開発したシナリオが熟達度評価に用いることができる可能性を示している.2024年度はこの成果を上澄みし,新たなシナリオの開発をすすめ,比較検討することで,熟達度の評価テストの開発をすすめていく.当初計画していた研究実施項目を着実に実施してきたことから,現在までの進捗状況について,(2)おおむね順調に進展している.とした.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の研究実施項目としては,2023年度の成果をベースにその内容を深めていくことを目的に次の4つの項目を設定する.【1-1】質問紙用いた大学院生の 研究公正に関する意識調査とその分析,【1-2】大学院生の「リテラシー」「スキル」「行動」に関する評価内容の検討,【2-1】学修者 の研究公正に関連する記述回答内容の評価,【2-2】熟達度を明らかにするためのシナリオを検討 2024年度は,熟達度モデルをさらに具体化させることを重点的に解明し,これまでの先行研究での取組と比較することで,本研究の最終目標である公正な研究活動をすすめる上で欠かすことのできない『スキル』『態度』『振り舞い』を評価する ための測定テストの開発につなげていく.
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Causes of Carryover |
2022年度に引き続き,研究の進捗を重点的に,効率的にすすめるよう,予算計画等を見直しながら進めた.2023年度は,特に各研究各項目の結果が得られるよう,これまでの研究リソースを活用しながら研究を実施した.研究成果を得られることを優先して研究進捗を見直したため,2ないし3回程度の実施を予定していた研究会を1回実施することや,旅費などの支出を見直したため繰り越し金額が発生している.2023年度において研究進捗に注力した結果,一定の成果が得られ出したので,次年度はその成果発表を含め,経費を計画的に執行していく.
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