2022 Fiscal Year Research-status Report
Creating a learning environment that fosters social-emotional skills of learning assistants at universities
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22K02844
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩崎 千晶 関西大学, 教育推進部, 教授 (80554138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐牛 祐輔 関西医科大学, 医学部, 助教 (20826870)
村上 正行 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (30351258)
山田 嘉徳 関西大学, 教育推進部, 准教授 (60743169)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会情動的スキル / 学習支援 / 学生スタッフ / チューター / ライティングセンター / 初年次教育 / 学習環境 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学で学習支援に取り組む学習支援者の社会情動的スキルを育む学習環境を構築することである。具体的な研究課題として「研究課題①学習支援者に求められる社会情動的スキルの明示」「研究課題②社会情動的スキルの育成プロセスと育成環境におけるデザイン原則の提示」「研究課題③学習支援者に求められる社会情動的スキルの成長を確認できる評価方法の導出」を行うことである。初年度は,社会情動的スキルの目標行動,育成環境等に関する文献整理をし研究に活かす要素を抽出することであった。本研究では、先述の文部科学省調査により学習支援の実施率が増加傾向である「初年次教育における学習支援・ライティング支援」を主に扱う。 今年度は教員へのインタビュー結果を基に、研究課題①として「初年次教育における学生スタッフに求められる能力・経験」導出をした。具体的には「課題探究において考えるプロセスを深める」「活動を振り返るためにフィードバックをする」「受講生のロールモデルとなる」等、11の能力・経験が導出された。これらは「初年次生の課題と初年次生に培ってほしい能力」への密接な関わりや、「受講生に共感し、共に考える」「教員と受講生の架け橋になる」等、教員に担えない学生ならではの能力を含んでいることが明らかになった。 加えて、研究課題②として「初年次教育における学生スタッフの育成方法」を導出した。その育成方法として、教員は能力別にレベル分けする段階性の方法ではなく、複数の学生スタッフが足りない部分を補い合える学びあいや模倣学習を重視し、どの学生スタッフも活動できる場を提供し、活動にフィードバックをすること等による方法で学生スタッフを育成していることが示された。 また、社会情動的スキルに関する文献調査の結果を基に、今後の論文執筆や調査方法に活かしていく ための知見を整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は教員へのヒアリング結果を基に、初年次教育における学生スタッフに求められる能力・経験やその育成方法を導出することを行った。 能力・経験に関しては「受講生と教員の架け橋となる」「受講生に共感し,共に考える」「教室全体を観察し,グループの状況を把握する」「グループで安心して意見を話せる場を作る」「課題探究において考えるプロセスを深める」「活動内容や役割分担を確認することで活動のマネジメントを促す」「活動を振り返るためにフィードバックをする」「課題探究の面白さ,難しさを実感している」「課題探究における一連のプロセスを 経験している」「受講生のロールモデルになる」「受講生の成長を大切にし,学生スタッフの活動に前向きに取り組んでいる」が挙げられた。 また育成方法に関しては、「複数のLAで活動できる場を作る」「先輩LAと後輩LAがともに活動できる場をつくる」「授業以外にLAの活動する場を作る」「授業目標や意図に関わる必要な情報を提供し,授業でのLAによる自発的な活動や提案を待つ」「教員がLAの行動を観察することで適宜助言を行い,LAと意思疎通を図る機会を持つ」「LAの提案を試行的に実施できる場を設ける」「LAには教員では作れない学びの場を形成できるという認識がある」「LAが成長するには時間がかかるため,待つ必要がある」「試行錯誤を経ることで,効果的な育成方法を見出せる」が挙げられた。 また先行研究に関して文献調査をすすめており、それらの結果も今後の調査に活かしていくことが考えられるため(2)のおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,各研究課題に適した方法で調査をし、結果を分析し、デザイン原則・評価方法を抽出することを推進していく。研究課題①と②に関してはライティング支援を中心に、学生スタッフや教職員を対象とした調査をすすめる予定としている。全国の大学の約1割がライティングセンターを保有しているが、それらのライティングセンターの情報を整理しているため、協力を得たライティングセンターへの調査を行う。これらの研究課題①②の結果を基に、研究課題③に提示している、学習支援者に求められる社会情動的スキルの成長を確認できる評価方法を導出することを推進していく予定にしている。 最終的には、初年次教育やライティングセンターにおける学習支援に携わる学生スタッフへの調査をすすめることで、大学で学習支援に取り組む学習支援者の社会情動的スキルを育む学習環境を構築することを行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であり、予定通りに出張ができない場合が起こったが、今後は解消できると考えており、出張等も計画通り実施できると考えている。
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Research Products
(12 results)