2023 Fiscal Year Research-status Report
学習に最適なバーチャル空間デザインのための、学習行動可視化システムの開発と検証
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22K02875
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢野 浩二朗 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (10612442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 恵理 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (70781425)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | VR / メタバース / 学習分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題に対して以下の2つの側面から研究を進めた。 1.バーチャル空間における学習行動の可視化システムの開発: Mozilla Hubsを利用した教育用バーチャル空間において、学生の行動を追跡し、データを3Dのデータポイントまたはヒートマップとして提示するデータロギングおよび可視化ツールを開発し、論文を発表した。このツールは、クライアントまたはサーバー側のプログラミングを必要とせず、限られたプログラミング経験しか持たない教師でも使用できるように標準化されたセットアップのみで利用することが可能である。このフレームワークは、ユーザー(学生)の移動の軌跡やクラスタリングなどのより多くの可視化および分析ツールを含むように更に開発され、開発完了時に公開される予定である。更に、このプラットフォームを用いて、古典文学の授業におけるメタバース教材の学習効果を検証し、学習者の行動パターンとメタバース教材の設計との関連性を明らかにした。 2.バーチャルミュージアムの評価基準の開発:可視化システムを用いて学習者の行動が分析できても、そこからどのように望ましいバーチャル空間を作るかは自明ではない。そのため、望ましいバーチャル空間を作るための基準が有用であると考えられた。そこで、本年度はバーチャルミュージアムに着目した。具体的には、バーチャルリアリティミュージアムの質を評価するためのルーブリックを構築する予備的な試みについて研究を進めた。ルーブリックは、展示計画、空間設計、ディスプレイ、展示グラフィックの4つのカテゴリーに分けられた。各カテゴリーについて、評価の具体的な側面(次元)を選定し、その基本概念について議論した。さらに、優れた展示と体験を実現するための評価基準を提示するとともに、各評価の側面がバーチャルリアリティミュージアムの評価にどのように役立つかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたバーチャル空間における学習行動の可視化システムの開発が順調に進み、すでに実用段階に入っている。また、開発したシステムを研究代表者以外に提供してデータの取得と分析を計画していたが、それについても順調に進み、学会発表にまで結びつけることができた。さらに、本研究の応用分野としてバーチャル博物館について研究の足がかりになる成果を出すことができ、最終年度の研究に大いに貢献することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
古典文学の授業におけるメタバース教材の学習効果については、もう少し詳しい報告をする予定である。また、主に看護分野で本システムを活用した分析について共同研究の計画を進めており、そちらが順調に推移すれば令和6年度末あるいは令和7年度に学会発表を行うことが可能と思われる。他にも、バーチャル博物館における来場者の行動の分析から、ルーブリックに基づいたバーチャル空間デザインの妥当性について検討することも予定している。
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Causes of Carryover |
バーチャル空間を用いた授業実践をするに当たり、予定していたVRゴーグルではなくPCを用いたため、そのための予算が使用されなかった。次年度(令和6年度)は使用予定である。
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