2023 Fiscal Year Research-status Report
通史授業の論述データと関連する現代のニュースを推薦できるシステムの開発と評価
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22K02884
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池尻 良平 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 客員准教授 (40711031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澄川 靖信 拓殖大学, 工学部, 助教 (70756303)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育工学 / 歴史教育 / 学習科学 / AI / 類推 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、通史授業における歴史の因果関係の構造と類似している現代の因果関係を検索できる学習用のウェブアプリ「歴史スパイラル」をデザインし、高校生を対象に評価した。 デザインについては、歴史的類推の先行研究を踏まえ、歴史の因果関係、関心のある領域(政治・経済・文化・社会)、学習者が考える現代との類似性の3つを入力できる画面をデザインした。その後、昨年度に開発した、通史授業における歴史の因果関係の構造と類似している現代の因果関係を検索できるアルゴリズムに基づき、ウェブニュースのグループを類似度順に提示し、ウェブニュースのURLを表示する画面をデザインした。最後に、歴史と現代の共通点と相違点を入力した上で考察させる画面をデザインした。上記のウェブアプリは、学習者の生活に合わせてすぐに使用できるよう、スマートフォン向けにデザインした。 次に、高校生4名を対象に開発アプリを使用してもらい、事前事後の質問紙と事後インタビューを通して形成的評価を行った。その結果、1) アプリを使う前と比べて類似していると感じる現代のニュースが増え、2) 各自の関心に沿って異なる現代のニュースを提示することができ、3) 現代のニュースへの興味が高まり、4) 歴史の授業の受け方や見方にも良い影響が出ていたことが確認された。一方で、インタフェースの課題も発見し、これを踏まえてウェブアプリのデザインを修正した。 今年度の研究結果は、日本教育工学会2023年秋季全国大会、第72回全国社会科教育学会研究大会で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、歴史的類推の先行研究に基づき、学習を促進するウェブアプリをデザインできた。さらに、高校生を対象にした形成的評価も行い、概ね本研究が狙う学習効果を誘発できていたことを確認した。また、課題を踏まえた修正も行った上で、データ分析中ではあるものの、高校生5名を対象に、ウェブアプリを使用する期間を2週間から1ヶ月設けた評価も行っている。以上より、順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
期間を2週間から1ヶ月設けた高校生5名のデータを分析し、歴史の授業と現代のニュースを関連させた考察や学習活動に関する様相と学習効果を明らかにする。また、それを踏まえた最終的なデザインを行い、高校教員の協力を仰ぎつつ、より多人数での評価を実施する。
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Causes of Carryover |
形成的評価の結果、プロトタイプの段階で学習を促進する効果が出ており、ウェブアプリの修正費用が想定より発生しなかったため、2023年度の予算の一部を2024年度に繰り越した。繰り越した分については、円安の影響で高くなることが想定される国際会議の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)