2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒヤリハット事例を生かした放射線利用における安全文化醸成のための教材開発
Project/Area Number |
22K02944
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 智和 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (80506395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
高橋 賢臣 大阪大学, 安全衛生管理部, 准教授 (20445844)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヒヤリハット / 放射線利用 / 排水管理 / 安全文化醸成 / 放射線管理 / 個人線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒヤリハット情報の収集と情報共有は、事故や事故に繋がる事象を減少させるツールとして様々な分野の安全性向上に役立っている。研究や医療、非破壊検査等で用いられる放射線の利用現場では、法令により事故の報告は求められているがそれに満たないトラブル等は公にならない。 令和5年度は令和4年度に実施したヒヤリハット情報収集のアンケート結果をまとめ、その結果を日本放射線安全管理学会学術大会、大学等放射線施設協議会研修会、日本アイソトープ協会放射線安全取扱部会年次大会で報告した。アンケートによるヒヤリハット事例で、液体シンチレーションカウンタのガラスバイアルを破損した件が2件報告されており、汚染事故に直結する事例として着目した。液体シンチレーションカウンタの製造業者にヒアリングを行い、議論した結果、バイアルラックという製品を使用するのが良い、という対策案が見つかり前述の研究会等で報告した。本件はパワーポイント教材としてできあがっている。その他、上水の漏水が原因で排水が増加するトラブルが複数発生していることも判明した。本件の対策は引き続き調査する。 さらに着目すべき事例がないか、アンケートに情報提供をしてくださった協力者を訪問するヒアリング調査を開始した。まだ件数は少ないものの、個人線量計の使用方法や管理方法に関する教育資料を作成する必要性が判明した。本件で特に空港保安検査時の誤計数について調査するプロジェクトが立ち上がったので、ひきつづきその団体と協力して調査することも決まった。 なお、令和4年度に開設したアンケート調査のフォームは引き続き開いており、新たに8件の報告があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、令和5年度はヒアリング調査を中心に行う予定であった。一方で、ヒアリング調査に使う予定の検出器の納入が遅れ、ヒアリング調査の開始が遅れた。そのため、アンケート調査で得たヒヤリハット事例から教材の作成を先に行うことにした。ヒアリング調査の進捗は遅れているものの、教材の作成は予定より進捗しているので、平均しておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もアンケート調査のフォームは引き続き開いておき、さらに情報提供を受け付ける。昨年度開始したヒヤリング調査を引き続き実施する。昨年度教材化した液体シンチレーションカウンタのガラスバイアルを破損した件についても、報告者の1人を訪問し、教材に関する意見交換を行う。また、空港保安検査時における個人線量計への誤照射について日本保健物理学会と協力して、対策案を検討し教材の作成化の検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初、令和5年度はヒアリング調査を中心に行う予定であった。ヒアリング調査に使う予定の検出器の納入が遅れ、ヒアリング調査の開始が遅れた。そのため、ヒアリング件数が少なくなり旅費の支出が予定より少なくなってしまった。今年度のヒアリング件数を前年予定分も実施し、余剰金はその旅費に充てる。
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