2022 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子リテラシー育成のためのキュウリの性分化に関する遺伝教材の開発と実践
Project/Area Number |
22K02948
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
山崎 聖司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30363295)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | キュウリ / 性表現型 / F遺伝子 / 優性マーカー / 共優性マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、F遺伝子を識別できる優性および共優性DNAマーカーを用いて、キュウリの性表現型の遺伝とF遺伝子の遺伝を関連づけて学習できる新しい遺伝教材を開発することを目的としている。 栽培品種である雌性型キュウリ5品種(夏節成、加賀節成、聖護院節成、ドカナリ千成、フレスコ100)について、各個体の20節位までに分化する花の性別を調査し、雄花と雌花の割合を算出した。また、F遺伝子を識別できる優性または共優性DNAマーカーをプライマーとして用いて、PCR反応を行いF遺伝子の保有状況(FF、Ff、ff)を調査した。 その結果、夏節成、加賀節成、聖護院節成は、混性型(雄花形成率約60%)であったのに対して、ドカナリ千成とフレスコ100は、完全雌性型(雄花形成率0%)であった。また、夏節成、加賀節成、聖護院節成は、F遺伝子を持たない(ff)のに対して、ドカナリ千成はF遺伝子をホモ(FF)に持ち、フレスコ100はF遺伝子をヘテロ(Ff)に持つことが明らかとなった。このことから、上記のキュウリ5品種において、F遺伝子をヘテロまたはホモに持つと完全雌性型になることが示唆された。 次に、フレスコ100(Ff)の第4葉展開期の茎頂に、1.0mMの硝酸銀(AgNO3)50μlを1日に1回、合計で3回(3日間)処理して雄花を誘発し、フレスコ100(Ff)の雄花と雌花を交配(自殖)させ、自殖種子を得た。現在、この自殖種子を播種して育成している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおよそ計画通りであるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
F遺伝子を識別できる優性および共優性DNAマーカーを用いて、キュウリの性表現型の遺伝とF遺伝子の遺伝を関連づけて学習できる新しい遺伝教材を開発することを目的として、引き続き、フレスコ100(Ff)の自殖種子を播種して育成し、性表現型とF遺伝子の保有状況について調査を進めて行く。すなわち、性表現型については、完全雌性型個体(FF、Ff 個体):混性型個体(ff 個体)が、理論比3:1となるか、また、F遺伝子の保有状況については、FF個体:Ff個体:ff個体が、理論比1:2:1となるかを検証する。これを導くために必要な個体数について検討を行う。 また、ドカナリ千成(MMFF)と雄性両性同株型であるLemon(mmff)を交配し、得られたF1個体群(MmFf)の性表現型についても解析を行う予定である。
|