2022 Fiscal Year Research-status Report
化学と環境・歴史・倫理の融合を目指した教育コンテンツの開発と実践
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22K02950
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
四ノ宮 美保 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (60291069)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 化学 / 理数探究 / 環境 / 研究倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①化学を軸に環境、歴史、倫理、法律などへのつながりを示した大学教養科目レベルの教育コンテンツ、②探究型授業を行う上での研究倫理に関する教育コンテンツ、を開発し普及に向けての活動をすることである。 研究計画の初年次である令和4年度は、学習指導要領改訂に伴い同年度から高等学校で新たに使用されている「化学基礎」及び「理数探究基礎」の検定教科書を対象として、「化学基礎」では環境影響や化学兵器などの化学物質の負の側面に関する記載の調査を行った。一方で、「理数探究基礎」では研究倫理の取扱いについて調査した。その結果、「化学基礎」の教科書では、環境に係る内容は化学が果たす役割としての記載が中心であり、日常生活や社会との関連から化学に興味を持ち、理解を深めることを目的としていた。一方で、過去の化学兵器などへの化学の関与についての記述はなく、化学物質の正負両面についての知識を付与する教材を新規作成する価値が十分にあることが確認された。また、令和4年度より新たに高等学校の教科に追加された「理数探究基礎」では、具体的な研究の流れの教育内容に入る前に、定義としての科学の説明や研究倫理として研究不正、個人情報の取扱及び生命倫理に関する内容は記述されているが、学生のより深い理解のためには、過去の具体例などを示す教育の必要性が示唆された。 以上の調査内容を踏まえ、文献、書籍、新聞等から得た近代科学史等の内容を組み入れた教材コンテンツ(プロトタイプ)を作成し、次年度の大学1年次を対象とした「化学」関連科目の授業にて展開することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染防止対策、遠隔授業のための学生教育ツールの準備、所属機関の異動に伴う研究室の片付けなどに時間を要し、一部の作業について予定通りに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
高等学校における「化学」関連科目を対象に、今年度に実施した調査範囲をさらに「化学」及び「理数探究」の教科書や副教材などまで広げるとともに、記載項目のさらなる分析を進める。また、国内の大学HPで公開されている教養科目(「化学」及び「環境科学」関連科目)のシラバスとカリキュラムマップを資料とし、教授内容と他科目との関連性についての調査を継続し、現状をまとめる。さらに、海外の大学に関しても10大学程度を選別して同様の調査を実施し、国内の状況と比較する。 調査結果を基にした教育コンテンツを開発し、担当する「化学」等の授業や公開セミナーで使用・展開し、フィードバックすることにより改良を重ねる。これを基に副読本、ビデオ教材の作成など行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染状況や改訂学習指導要領の導入から間もない時期であることから、当初予定していた令和4年度における高等学校へのアンケート調査は適切な時期ではないと考え、調査に係る人件費や通信費を使用しなかった。また、研究室の片付けなどに時間を要し、物品購入費も使用することができなかった。差額は当初予定していた書籍等の購入やデータ収集のための人件費に充てる。
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