2022 Fiscal Year Research-status Report
教育用マイコンmicro:bitを用いた理科実験教材の開発
Project/Area Number |
22K02979
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
林 英子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (40218590)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Micro:Bit / 理科実験 / 温度測定 / 高分解能温度計 / ベックマン温度計代替 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校においてもプログラミング教育が導入され、イギリスBBCが主体となって作った教育用マイコンマイクロビット(micro:bit)が、プログラミング学習等に活用され始めている。また、高性能で高感度なセンサー素子を入手可能になったため、マイコンでより教育効果の高い実験教育を実現できるようになっている。このことから本研究では、micro:bitをプログラミング教育だけに用いるのではなく、小学校から大学までの理科実験や化学実験の装置としての活用を目指し、micro:bitを用いた測定・制御の高精度化や自動化を活かして理科実験に活用ことを目的としている。 本研究で開発し使用するキーデバイスに「プローブ型温度計」がある。これは従来使われているガラス温度計に代わりビーカー中で使用できるもので、測温プローブは市販の小型(2 mm×2 mm×0.7 mm)の高感度温度センサー(TI社、TMP117)をフレキシブルなテフロンチューブの先端に封入して、耐熱、耐薬品性を持たせたものを作成した。 このTMP117測温プローブをmicro:bitに接続し、動作温度範囲-55 ~ 150 ℃で、-20 ~50 ℃の温度範囲では精度±0.1 ℃の高精度実験用温度計を作成した。さらに、micro:bitのマイコンとしての統計的処理によって測温分解能をTMP117の製品規格値の0.0078℃から0.001℃まで向上させた。このような高分解能の温度計の市販品はほとんど存在しない。測定値は即時にパソコン画面にグラフ表示/データ保存できるようにした。このプローブ型温度計を大学の化学実験に用い効果を検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
温度センサーにはTI社のTMP117を使用し、外径1.3 mm長さ60 cmのテフロンチューブの先端にセンサーを封入し、耐熱、耐薬品性の測温プローブを作成し、統計処理を用いてセンサー規格の温度分解能を0.001℃まで向上させたmicro:bitプローブ型温度計の開発に成功している。micro:bitプローブ型温度計の大学での学生実験への活用として、反応熱の測定、および、凝固点降下の測定による分子量の決定の実験に用いて効果を検証している。しかし、学生実験への活用のためのプログラム修正等に時間を取られ、その他予定していたのプローブ型温度計の関係するの教材作成において遅れが見られている。また、手作業をで行っていた小型の温度センサーを測温プローブとするための結線作業を専門企業に依頼する予定であったが、遅れが見られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
micro:bitプローブ型温度計については、融点測定装置などの実験教材開発、および、活用例の拡大を引き続き行う。 現在micro:bit用のフリーのMicroPythonエディタであるMuエディタの描画機能を用いてグラフ表示を行っているが、グラフの描画としては若干問題があるため、理工系の向けのグラフ作成フリーソフトNgraphに実験中にグラフ描画できるようにする。これは2023年度から開始する電気化学測定用のグラフ描画にも活用出来る。 上記に加え、2023年度は計画通りに電気化学測定への活用についても取りかかる。 また、プログラムダウンロード用のウェブサイトを作成して、micro:bit用に開発したプログラムを容易に公開出来るようにする。
|
Causes of Carryover |
2022年度は、学会発表3件の内2件がオンライン開催であり、また、対面開催の1件は千葉県内での開催であったため、日帰り出張となったため旅費を使用しなかった。 温度プローブ加工費について発注が遅れたため、2023年度に使用する予定である。 プリンター更新費は現有の物が使えたためそのまま使用した。使用出来なくなった段階で更新する。 プログラム開発用のパソコンについても2022年度は現有の物を使用し更新しなかったが2023年度に購入する。
|
Research Products
(3 results)