2023 Fiscal Year Research-status Report
Multimodal learning of writing class for first-year science students
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22K02980
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本郷 智子 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60401452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 友紀 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20733893)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マルチモーダル / 作文教育 / ビジュアル化 / 思考過程 / 相互行為 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度のパイロットスタディの継続として、2023年前期に研究代表者らが担当した学部一年生を対象とした作文活動「理系大学生のための表現技法」(授業回数8回×4クラス)において、手書きスマートノート「ロケットブック」による実践を継続し、マルチモーダル化の観点を取りいれることで学びがどのように変化するかを分析した。学習者が文章を作成する過程で手書きスマートノートを活用し、思考のビジュアル化を行いながら、他者にそれを伝え、考えをまとめる一連の活動を実施した。昨年同様、研究対象者約210名に配布し、最終課題前のプレゼン活動を準備するための授業におけるペアワークに使用した。ペアワークでは、随時ローテーションしていく形で活動を進め、各学生がどのような流れで文章を構成するかをビジュアル化しながら内容を説明する活動を行った。その過程において、学習者は、クラスメートとの相互行為を通してフィードバックを得ながら修正を行った。これに加えて、本年度は学習者を対象に活動後に一連のアンケート調査を実施し、分析資料とした。1)文章を産出する上でのイメージ化ができたか。2)ペアワークを繰り返す中で、説明の仕方や図解等を変更したか。変更した場合、どのように変えたか。3)他者からのどのようなフィードバックからどのような気づきを得られたかの3点について回答を得た。2)については、回答結果を①文字・説明情報量の変更、②説明の順番の変更、③説明の内容の変更、④相手の理解度を慮る言葉、⑤その他の項目で分類した。また、3)については、①構成・情報整理、②新たな視点、③説明不足、④図解やデータ、⑤その他の項目に分類した。さらに、1)2)3)の質問項目間のクロス解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のパイロットスタディに続く本年度の実践およびアンケート調査の分析結果を次年度学会に発表するべく準備を進めている。 昨年、見受けられたロケットブックの使用方法に関する理解についての個人差に配慮し、ツールの使用に慣れるための予備時間を取り、ツールの使用法をさらに詳しく説明した。また、一連の活動のビデオ録画については、録画環境や音声録画のむずかしさから、録画ではなく写真撮影を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行ったパイロットスタディでは、マルチモーダル化の効果を文章課題の評点の差異という形で明確に示すことできなかった。本年度は、初年度同様に4クラスを対象とし、対象者にアンケート調査を行うことで、学習者がマルチモーダルな要素をどのように認識しているかを探った。昨年度の振り返りをもとに対象となる学生がマルチモーダル化のツールとなる「ロケットブック」を有益に使用できるよう準備段階での工夫を行った。次年度(最終年度)は本年度の分析結果を日本語教育方法研究会にて発表する予定である。そこでのフィードバックを踏まえて、教育におけるマルチモーダル化を他の教育実践にも生かしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
R4、R5年度で集めた画像データやアンケート回答について、テキストマイニング手法等を用いた質的分析、および数値化されたデータの量的分析を行う。R6年度は、データの適切な管理と活用のためにコンピュータの購入を計画する。周辺機器や必要なメモリの購入を含めると20万円以上のコストが見込まれるため、R5年度の予算執行を計画的に制限し、R5年度の未執行分とR6年度の配分経費を合わせた28万円を充てることとした。R5年度の研究費用については、R4年度の備品や教材を想定以上に再利用することができたために支出を抑えることが可能となった。
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