2023 Fiscal Year Research-status Report
客観指標に基づいたポストコロナ対応型グループ学習による高専生命科学授業の開発
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22K03014
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
石丸 裕士 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (70270311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 功次郎 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80259910) [Withdrawn]
三島 利紀 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (70321370)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高専教育 / Q-U / グループ学習 / 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
高専では、2020年度はコロナ禍の影響で、キャリア教育の一環として実施されてきたイベントなどが数多く中止となった。一方、2021年度、実験など授業が概ね通常通り行われたのに対して、イベントは概ね中止されたままだった。引き続いて起こったイベントの中止は、学生のキャリア意識や、キャリア意識と相関が高いソーシャルスキル、学生間リレーション形成意欲をはじめとする学校生活意欲、学習の基本単位となる学級満足度などQ-U の各項目にいかなる影響を及ぼしたのか調査しようと試みた。 中学生対象に行われた先行研究では、イベントの中止が続いたことにより、孤立・孤独感を感じる学生が増えたことや、不安のグルーピングしか組めず、学習無気力に陥っていること、コロナ禍が一段落してからの方がむしろ不登校が増えていることなどが報告されている。 まず、本研究では、全高専に声がけして、Q-Uの活用状況を調査し、把握した。次に、その中でも活用度が高く、これまでの教育改善に関する研究で協力頂いたフィールド校に声がけして、コロナ禍やその後しばらくの間、様々な学生関連のイベントの欠如したことなどが高専生の価値観にどのような影響を及ぼしたのかについて調査した。すると、コロナ2年目の2021年度の1年生では学校生活意欲が回復したが、4年生では、学校生活意欲が低減したままであること、5年生で新たに意欲低減が見られたことが判明した。オンライン授業という概念が入ったことにより、実際に授業に出席することに壁を感じたり、実験実習も含め、グループ学習の価値より不安を訴えたりする声が一部で多くなった。グループ学習の内容重要だが、話し合いや活動におけるルールの定着など、高専生であっても、事前指導が重要であることが明らかとなった。遠隔指導の強みや弱みも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
客観指標を用いて、コロナ禍が高専生の価値観に及ぼした影響を、引き続き、特定のフィールド校において調査できた。しかし、窓口教員が転勤したことにより、当初行う予定だった調査ができなくなった。さらに、当初の研究分担者が体調不良を理由に退職することとなったので、研究分担者を新たに迎え、急遽、新たなフィールド校を見つけることとなった。このため、研究を継続はできることとなったが、以後の研究体制を見直す必要が出てきた。そのため、共同研究のコンソーシアムの形成はできたが、十分な研究環境が整わないまま年度末を迎えてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はあらたなフィールド校を交えて、2023年度に行った調査を多くの地域で、調査し、コロナ禍が高専生の価値観に及ぼした影響をさらに明らかにする。さらに、研究協力者にインタビュー調査するなどして、自律性向上支援などのキーコンピテンシー獲得を見積もる尺度の開発にも努める。2023年度の成果より、グループ学習を成功させるには、授業内容を工夫する以上に、話し合いや活動におけるルールの定着など、高専生であっても、事前指導が重要であることが明らかになったので、授業構成上の工夫にも注力したい。研究代表者は、専門外の学生が生命科学を学ぶのに役立つ実験教材の試作を行ったので、授業構成上に工夫と交え、ポストコロナ対応型のグループ学習の事例授業を実践し、これらの研究成果を教育系学会にて発表する。
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Causes of Carryover |
フィールド校の窓口教員が転勤したことにより、当初行う予定だった調査ができなくなった。当初の研究分担者が体調不良を理由に退職することとなったので、研究分担者を新たに迎えたが、研究体制のみなおしに時間がかかった。また、研究代表者は、従来の担当科目に加えて、研究分担者の担当科目も急遽担当するなど、この研究に対して当初予定していたエフォートを十分に確保できなくなった。このため、次年度使用額が生じた。2024年度は新たなフィールド校を迎え、ポストコロナ対応型のグループ学習の実践を行うため、授業構成の工夫や授業内容の改善を実践する予定である。
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