2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03021
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
竹村 幸祐 滋賀大学, 経済学系, 教授 (20595805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 裕士 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60621604)
畑中 美穂 名城大学, 人間学部, 教授 (80440212)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 火災 / 感染症 / 規範 / 居住地流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、火災や他の脅威について、脅威に備える行動がどのように維持されるかを解明しようとするものである。火災をはじめ、生活の中での様々な問題・事故を防ぐには様々な注意を払う(e.g., 火の管理を怠らない)必要がある。しかし、生活の中では「うっかり」が発生し、対策行動の継続は容易ではない。本研究は、防火行動ならびに他の脅威(e.g., 感染症)への対策行動について、個人が単独で対策行動を維持するプロセスではなく、他者とのやり取りの中で持続させるプロセスに注目し、対策行動が維持されやすいコミュニティの特徴(e.g., 社会規範)の解明を目指している。 2023年度には、地域コミュニティの社会規範を形骸化させる要因を調べる実験を行った。過去の研究から、住民の居住地流動性が高い時に規範が形骸化しやすいことが確認されていた。本研究では、個々人が規範を軽視するようになる条件として、1) 自分自身の居住地流動性の高い時、2) コミュニティ内の他の住民の居住地流動性の高い時の2つを想定し、これらそれぞれを実験操作して効果を検討した。その結果、自分自身の流動性だけでなく、コミュニティ内の他の住民の流動性も規範軽視に関係することが確認された。この知見は、種々の対策行動を維持する上で重要な役割を果たす規範について、個人がそれを尊重するかどうかに周囲の他者の振る舞いが影響することを示している。 似た知見が、感染症への対策に関しても得られた。2023年度には新型コロナウイルス感染症への対策行動についての縦断調査(日本を含む5カ国で実施)のデータの分析を進めた。その結果、感染対策を怠ることへのサンクションの存在は対策を促すが、その効果の一部は、サンクションがあることで「多くの他者が感染対策を取る」との認識を促すことによっていた。この知見は、対策行動が集合的に促進または減衰するメカニズムに迫るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ整備・分析が順調に進んだ。なお、郵送調査の実施を見送ったが、2024年度にこれにかわってインターネットでの調査を実施する方向で計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
郵送調査を念頭に置いていたが、データ収集の効率、さらに過去の調査データと連結して縦断データ化できる可能性を考え、インターネットでの調査に切り替える方向で計画している。このデータ収集により、地域コミュニティの社会関係資本等のデータを収集する。同時に、公開統計データの整備・分析も進め、調査データとの紐づけも行う。
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Causes of Carryover |
既述の通り、郵送調査の実施を見送った。そのため、その分の予算が次年度にまわされることとなった。
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Research Products
(4 results)