2022 Fiscal Year Research-status Report
A theoretical and empirical examination of the principles of reputation sharing and attainment of mutual cooperation that incorporate information transmission
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22K03036
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
真島 理恵 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (30509162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 協力 / 評判 / 間接互恵性 / 情報伝達 / 進化モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
非協力者を排除し集団内で相互協力を達成することは、人間社会の基盤である。特に近年、血縁関係を超えた大規模な集団内での相互協力を可能とする仕組みとして評判に基づき成り立つ間接互恵性の原理が注目され、人々がどのように評判情報を使うことで間接互恵性、ひいては大規模な集団における相互協力達成が可能となるのかについて理論的解明が進んできた。しかし、そもそも「集団内で評判情報を共有しあう状態」がいかにして実現可能か、という根本的な前提にかかわる問いは未解明のまま残されている。本研究では、評判の基礎となる集団内での情報伝達のプロセスに注目し、実証データから特定した人間の情報伝達に影響する心理・状況要因をモデルに組み込み、集団内での情報共有と相互協力がいかにして実現可能かを特定し、ヒト社会における協力の適応的基盤の解明を目指す。評判が機能するためには、評判のもととなる「誰がどのように行動したか」の履歴情報が集団内で正しく共有されている必要があるはずであり、人間社会ではこうした情報共有は、誰かの行動を目撃した人が他の人に話し、それを聞いた人がまた別の人に話す、といった伝達行動を人々がとりあうことで行われていると考えられるが、人間が行う情報伝達は、同調や対比効果など様々な要因によって歪む可能性が考えられる。そこで2022年度は、間接互恵性場面における情報伝達を測定した場面想定法の調査データ(予備調査)の解析を行い、間接互恵性状況における情報伝達におけるバイアスの有無、及び情報伝達行動に影響を及ぼす要因について探索的に検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間接互恵性場面における情報伝達を測定した場面想定法を用いた予備調査のデータについて共同研究者とともに詳細な解析検討を行い、間接互恵性状況における情報伝達におけるバイアスの有無、及び情報伝達行動に影響を及ぼす要因について検討を行った。本調査は、「間接互恵性場面における資源の渡し手の行動を回答者が見聞きした」状況を記述したシナリオを提示し、見聞きした渡し手の行動を周囲に伝達しようとする程度を測定する場面想定法の調査であり、シナリオに登場する渡し手の行動(提供/非提供)、資源の受け手の評判(Good/Bad)、渡し手の(行動発覚前の)事前評判(Good/Bad)が参加者間要因として操作された。解析の結果、人々が見聞きした行動を他者に伝達する行動は状況によらず同程度に生じるわけではなく、一定のバイアスが観察されることが明らかとなった。具体的には、「事前評判の良い渡し手によって行われた行動」及び「非提供行動(資源を渡さなかった)」は他者に伝達されにくいというバイアスが観察された。なお、これらのバイアスと関連する要因について、回答時に考えたことや回答者の心理特性などを用いて探索的に分析を行ったが、上記のバイアスを一貫して説明する要因は見出されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかになった知見に基づき、まず間接互恵性状況における情報伝達に影響する要因を特定する。まず、予備調査と同様の、「間接互恵性場面での渡し手の行動を見聞きした」状況を記述したシナリオを提示し、知り得た情報を周囲に伝達する程度を測定する場面想定法の調査を、間接互恵性場面の種類・シナリオで提示される渡し手の行動についての情報数・情報伝達コストの大きさなどの、情報伝達に影響する可能性のある要因を操作要因として加えて実施する。調査では同時に、回答者の同調傾向などの心理特性も測定する。これらの調査により、間接互恵性状況における人々の情報伝達パターン、及び情報伝達バイアスを生み出す至近因の候補を絞り込んだ後、情報伝達に影響する状況要因を操作した実験室実験を行い、情報伝達に影響する要因を特定し、モデルに組み込むべき人間の情報伝達プロセスの特徴を明らかにする。その後、それらの情報伝達プロセスの特徴、及び情報伝達に影響を与える要因を組み込んだ上で、間接互恵性状況に置ける相互協力が実現可能となる条件を特定することを目的とした理論モデルの作成、及びモデルの実証的検討を行う。
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Causes of Carryover |
予備調査の詳細な解析結果に基づき、次年度以降に大規模な調査の実施、及び実験室実験の準備を行うこととしたため、次年度誌用が必要となった。調査費用、及び実験準備のためのノートPCや実験用の消耗品の購入必要として使用する。
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