2022 Fiscal Year Research-status Report
Cross-cultural psychological study of interdependent happiness and it's process to health
Project/Area Number |
22K03044
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
一言 英文 関西学院大学, 文学部, 准教授 (80752641)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 義明 明海大学, 経済学部, 教授 (10720683)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 文化 / ウェルビーイング / 自己 / 幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究課題の核となる協調的幸福感の理論的背景と先行研究について、洋図書章としてレビューを寄稿した(Hitokoto, H. & Takahashi, Y. (in press). Cultural Differences and Happiness. In Fernandez-Urbano, R (Ed.). Encyclopedia on Happiness, Quality of Life and Subjective Well-being.)。ここでは、文化とウェルビーイング研究における過去・現在・未来についてレビューを行った。具体的には、幸福感の文化差を総覧しつつ、その背景にある文化と自己、感情の意味づけに関して論じた。その上で、文化の要因としての社会環境と、協調的な文化の背景にある綿密な相互扶助と連携が、結果として調和や平穏、人並みの感覚を含意とした幸福感の発生に寄与した可能性を論じた。さらに、展望として、文化的な機能を考慮しない幸福度の単純な量的比較に対する警鐘と、移民・マイノリティ文化における文化的幸福の研究価値について、本研究課題を中心に論じた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、海外のコロナ事情による共同研究者との調整不足に加え、本学にて学会大会の運営に中核的に関わる必要が生じたこともあり、理論的レビューの執筆を除いては大きな進展が難しかった。本年度は、これらを改善した上で、予定に沿って国際比較調査を実施する見込みである。ちなみに、今年度は、4月現時点で、本研究課題に基づいた国際学会での発表および国内学会での発表を計画している。これらに基づき、論文を出版する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023度は、まず、Hitokoto & Adeclas (2022)のコロナ禍中の研究結果がどれほどポストコロナ期にも一般化するかを検討するための国際比較調査を実施する。具体的には、日本とフランスの社会人を対象に、インターネット調査を実施する予定である。2024年度は、幸福感の文化的含意が時代間で伝播する媒介要因とそれによる健康に対する効果について検討するため、ペルーの日系移民を対象としたオンライン・インタビュー調査を実施する予定である。2025年度は、これらを総括した研究発表を通し、協調的幸福感が健康に与える効果を、直面した生体環境という状況的要因と、時代を通して存続する時代的要因に着目した研究モデルを構築することを目指す。
|
Causes of Carryover |
当該年度は、計画していた日韓の年齢横断データについて、他研究費による調査で実質的にこれを行うことができたため、本研究課題からは日仏調査等、計画していた他の調査に回すこととし、研究費の調整を行った。また、ペルーでの調査について、コロナ禍のみならず、その後の政変のため、現地調査の形態を変更して実施することとして、予算を確保している。これら主な要因により、次年度使用額が生じているが、計画の調整が済み次第、計画に沿って支出する予定である。
|