2023 Fiscal Year Research-status Report
第二子出生前後における子育ての夫婦間調整と家族システムの変容過程
Project/Area Number |
22K03047
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 道代 東北大学, 教育学研究科, 名誉教授 (60312526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科, 教授 (60352548)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | コペアレンティング / 夫婦間調整 / 第二子出生 / 移行期 / 家族システム |
Outline of Annual Research Achievements |
1.課題1(第二子妊娠中後期と出生後の母親への縦断面接調査)に関して、第二子出産前の「父・母・ 第一子」3者関係、第二子出産後を見越した心構え、父母関係、父子関係、母子関係にかかわる準備についての1回目調査と、一部協力者には第二子生後5か月時2回目調査を行った。1回目調査の結果、①母親は、第一子が赤ちゃんを受容できるように熱心に働きかけ、これに応じて第一子が第二子誕生を待ち、兄・姉になる準備をしていると感じていた。第一子の理解が十分でない場合や分離不安がある場合は母親の不安につながった。②父親は第一子を可愛がり遊び上手だが、「平日はワンオペ」という現状は母親にとって第二子出生後への不安となっていた。③母親は第一子育児経験により、第二子出生後に再び余裕を失うことに不安を感じていた。自分ひとりでやろうとし不安定となった経験を踏まえ、頑張りすぎない、情報をうのみにしない、外部資源に頼る等の心構えを語った。④コペアレンティング関係では、父親に期待しすぎず完璧を求めない、やってほしいことは具体的に伝える、話し合うなどを考えていた(日本発達心理学会第35回大会発表論文集P189)。 2.課題2に関して「母親の認知する父親の感応的協働性尺度作成」の結果をまとめて学会発表を行った(日本心理学会第87回大会)。これを前年度学会の発表結果(日本発達心理学会第33回大会発表論文集P420発表)と併せて論文化した(発達心理学研究第35巻(1)印刷中)。父親が感受性と応答性をもって自らコペアレンティングに関与することを父親の感応的協働性と定義し,母親認知によるパートナーとの調和的コペアレンティング評価を可能とした。 3.子どものネガティブな情緒(怒り)に対する母親の反応(親の情動社会化)の調査を論文化し、母親の性格特性だけではなく、夫婦関係の質が母親による子どもの感情の社会化に関わることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面接調査では協力者数は少ないが事例法としてのまとめ方を考慮しながら継続している。前年度実施の質問紙調査で作成された尺度は、学会発表によって他研究者との情報交換の後、今年度は論文化し学術雑誌に投稿、現在印刷中である。本尺度を用いたコペアレンティング相互作用モデル検証のための質問紙調査の準備(仮説モデル作成の議論、使用尺度選定と尺度作成原著者への確認、web調査会社との折衝等)も進めており、全体として概ね当初計画どおりに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.コロナ後、子育て家庭が反動的に多くの感染症流行に見舞われて、本研究がターゲットとした妊婦、乳幼児連れの母親はリクルート的にも調査実施的にも困難があった。面接の収集事例数がのびないことから事例法に方法論を修正してまとめることを検討し調査を継続している(2024年5月末~6月に一部協力者の2回目調査予定)。 2.課題2に対応した質問紙調査を実施する(2024年6月実施予定)。 3.学会における成果発表としては、日本心理学会第88回大会、日本発達心理学会第36回大会を予定している。
|
Causes of Carryover |
①本年度予定していた日本心理学会での発表は、直前に申請者がコロナに感染したため現地対面参加を断念しオンライン発表に切り替えた。このため、旅費と諸経費の支出がなかった。②本年度実施予定の質問紙調査を次年度に延期し、使用する尺度作成の論文化を先行した。本年度内に公表が決まり、質問紙調査の準備も終えることができたため、次年度、質問紙調査を実施する。本年度未使用分は、この調査の実施において使用する。③コロナ後も子育て家庭は多種類の感染症流行に見舞われており、本研究がターゲットとした妊婦、乳幼児連れの母親はリクルート的にも調査実施的にも困難があった。面接の収集事例数がのびないことから事例法としてまとめるように方法論を修正し、調査を継続している。④次年度の学会における成果発表として、日本心理学会第88回大会、日本発達心理学会第36回大会を予定している。
|