2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清河 幸子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (00422387)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アイデア生成 / 協同問題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
他者と協同する中で,他者のアイデアを参照することや自分のアイデアを他者に説明することなど,問題解決を促進しうるプロセスが生じる。本研究では,このうちの他者のアイデアを参照することに焦点を当て,効果的な協同のあり方を検討した。先行研究では,他者のアイデアを参照することで問題解決が促進されるという知見 (e.g, Dugosh et al., 2000) もあれば,妨害されることを示す知見もある (e.g, Smith et al., 1993)。また,促進効果を得て,妨害効果を軽減するための方策として,個人での取り組みと他者のアイデアを参照できる状況を交互に行うことがある (e.g, Bernstein et al., 2018)。この方策は一定の成功を収めているが,どの程度一般性をもつかについては検討の必要がある。 以上より,本研究では,アイデア生成課題を用いて,個人での取り組みと他者のアイデアを参照することを交互に行うことが問題解決を促進するかどうかを検討した。123名の成人がオンライン実験に参加し,常時呈示条件,断続呈示条件,参照なし条件の3条件にランダムに割り当られた。30秒を1試行として,7試行で「投票率を上げるための方法」についてできるだけ多くのアイデアを出すよう求められた。参照なし条件では,他者のアイデアは呈示されなかった。常時呈示条件と断続呈示条件では,参照なし条件の参加者が実際に生成したアイデアセットの中からランダムに選ばれたものが呈示された。常時呈示条件では全試行で呈示されたのに対して,断続呈示条件では,1,4,7試行でのみ呈示された。生成されたアイデア数を比較したところ,条件間に有意な差は見られなかった。この結果を受けて,他者のアイデアを参照することがアイデア生成を促進するための条件について議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り,個人での取り組みと他者のアイデアを参照することがアイデア生成に及ぼす影響を検討した。この成果は,2024年7月にロッテルダムで開催されるCognitive Science Societyの年次大会でポスター発表をすることが決定している (Member abstractでの採択)。しかし,アイデアの質に関する比較が完了していないことから,早急に実施する必要がある。また,オンライン実験では,参加者が呈示された他者のアイデアを参照しているかどうか,参照している場合にはどのように参照しているかを確認できないことから,対面実施での再検討も必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,既にデータの収集が完了した研究に関しては成果発表を行う。具体的には,Cognitive Science Societyの年次大会で発表を行い,そこで受けたコメントを参考にしつつ,論文化を行う。次に,オンライン実験での手続き上の問題点を克服するため,対面実施で追試を行う。さらに,アイデアの質についての検討を行う。対面実施とアイデアの質の評価には,研究補助者を雇用して進める。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際学会のうちの1つに参加できなかったため,次年度使用額が生じた。International Conference on Thinking: ICT2024参加費用として使用する。
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