2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on basic skills of teamwork ability based on the hierarchical structure of social skills
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22K03062
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
渡部 麻美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40635918)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | チームワーク能力 / ソーシャルスキル / 基本的スキル / 応用的スキル / 社会人 / 学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、チームでの活動場面で使用されるソーシャルスキルであるチームワーク能力に焦点を当て、大学生と社会人を対象にした縦断調査と大学生を対象にしたチームワーク能力トレーニングを通して、基礎的スキルと応用的スキルおよび社会的適応との関連について検討する。チームワーク能力の基礎的スキルはコミュニケーション能力であり、応用的スキルはチーム志向能力、バックアップ能力、モニタリング能力、リーダーシップ能力の4つの下位能力である。 2023年度は、2022年度に実施した縦断調査の2回目を行った。調査内容は相川他(2012)のチームワーク能力尺度を用いた。また、適応感の指標として野田・奇(2016)の職場適応尺度(大学生・大学院生を対象とする際は項目の文章の「職場」を「大学」に変更した)、孤独感の指標として豊島・佐藤(2021)の日本語版UCLA孤独感尺度(第3版)短縮版を使用し、職場や大学での能力の自己評価を独自の項目で測定した。2回の調査の双方に回答した129名を分析対象として、1回目調査におけるチームワーク能力が2回目調査における適応感、孤独感、能力の自己評価に及ぼす影響について階層的重回帰分析を行ったところ、チームワーク能力のうち、応用的スキルに該当するモニタリング能力とリーダーシップ能力が能力の自己評価を予測していた。適応感や孤独感を基準変数とした分析では、有意な結果は示されなかった。 また、女子大学生対象としてチームワーク能力向上プログラムを用いた、基礎的スキルであるコミュニケーション能力のトレーニングを実施した。トレーニングの実施前、実施後、3ヶ月後に効果測定を行ったところ、実施前から実施後にかけてコミュニケーション能力の下位スキルである主張スキルに向上が見られた。この結果は先行研究(渡部,2023)と整合するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年計画であり、2023年度はその2年目である。当初から計画されていた通り、2023年度は研究1と研究2の縦断調査の2回目を実施した。ただし、1回目と2回目の調査の双方に回答した回答者数は129名と想定していた数よりも少なかった。 また、研究3の女子大学生対象のコミュニケーション能力のトレーニングを実施した。トレーニングの効果を測定するための3回の調査も予定通り行った。ただし、参加者は全体で9名であった。トレーニングの実践によって得られた結果を一般化するには、十分な参加者数とはいえず、予備的な知見にとどまると考えられる。 以上から、研究はおおむね順調に進展しているが、サンプル数については想定した数に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1と研究2の縦断調査の回答者数が少なかった理由として、2回の調査の間隔が1年間空いていたことが挙げられる。また、昨年度までに収集したデータを用いた分析では、学生よりも社会人においてチームワーク能力と適応感や孤独感、能力の自己評価との関連が強いことが見出された。そこで、研究1と研究2の結果を補足するデータを得るために、調査対象を社会人に限定し、実施間隔を短くした縦断調査を追加で行う予定である。 さらに、これまでの縦断調査およびトレーニング実践の結果を用いて学会発表を行う。また、縦断調査については論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
研究1と研究2の縦断調査の回答者が少数であったため、調査会社に支払った調査費用が予定よりも低い額となった。また、研究3のトレーニング研究の参加者が想定よりも少なかったため、参加者への謝金額も計画していたより低かった。以上から、次年度使用額が生じた。
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