2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03069
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
鈴木 亜由美 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40435045)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 情動調整方略 / 幼児 / 児童 / 養育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,養育者評定による子どもの情動調整方略に関する尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討するため,幼児・児童の主養育者を対象にWeb調査を実施した。 前年度に行った自由記述を用いた予備調査の結果,およびGross(1998)のプロセスモデルにもとづき,子どもが嫌な出来事に出会ったり,物事が思い通りにいかなかったりして,不快な気持ちになっている場面を想定し,状況選択・修正,注意の方向づけ,認知的変化,反応修正に,非調整(表出)を加えた5種類の方略の使用について問う,計38項目を作成した。非調整(表出)を除く4種類の方略については,子ども単独によるのものと,養育者の援助や親子の相互作用を含むものが,それぞれ半数程度となるようにした。また尺度の妥当性検討のために,SDQ(Strength and Difficulties Questionnaire:子どもの強さと困難さアンケート)と,自己制御機能尺度(大内・長尾・櫻井, 2008)を同時に実施した。さらに,再検査信頼性を算出するために,1回目調査のおよそ2ヶ月後に,対象者の中から120名の養育者に対して,同一の項目で2回目調査を行った。 探索的因子分析の結果,想定した5種類の情動調整方略のうち,「注意の方向づけ」と「非調整(表出)」のみが抽出された。「注意の方向付け」はα係数は比較的高かったものの,社会性発達に関する既存の尺度との関連が一貫して見出されず,妥当性に課題が残った。また,「状況選択・修正」や「認知的変化」など想定した因子が抽出されなかったため,項目内容にさらなる検討が必要である。この研究の成果は日本心理学会第87回大会において発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Web調査自体は計画通りに実施できたものの,得られたデータを分析した結果,当初想定した因子が抽出されず,信頼性・妥当性も十分に検証されなかった。よって尺度の項目内容を検討しなおし,新たな項目を作成して再度調査を行う必要がある。よって進捗状況としては,「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の調査結果をふまえて,尺度の項目内容を再検討し,養育者評定を用いて幼児・児童の情動調整方略を問う尺度を再度作成する。その後,当初の研究実施計画にもとづき,子ども自身が回答する情動調整方略レパートリーと,養育者評定による情動調整方略の関連を検討する研究計画を立案する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,物品の購入金額が予定よりも低く抑えられたことや,学会・研究会がオンライン開催となり旅費がかからなかったことによるものである。当該年度の研究結果を踏まえて,次年度に再度Web調査を行うことになったため,その費用として使用する。
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