2022 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of Perception-Based Creativity and Their Educational Applications
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22K03073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清水 大地 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00724486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 猛 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (70281061)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 創造性 / 知覚ベース / 芸術表現 / 聴覚・触覚 / 実験と実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代において創造性を育成する重要性が強く主張されている。一方で、その支援は高次認知過程に着目したものが中心で、芸術家等の優れた創造活動に特徴的に見られる、豊かな知覚体験とそれによる対象物の心的イメージ構築に焦点を当てた検討は十分には行われていない。本研究では、上記の知覚体験が創造性にいかなる影響を及ぼすか、その影響・メカニズムを実験により検討する。そして、創造性支援のためのデザイン原則の提案を目指す。特に本研究では、対象物に関する視覚情報を操作し、触覚・聴覚情報への着目の程度を変化させ、以上の知覚体験の変化が前後の創造活動に与える影響を定量的に比較することとした。以上に関して、令和4年度では、「視覚の有無」と「介入の前後」を要因とする実験を行う予定であったが、社会状況(COVID-19の感染状況)により対面での創作実験が実施出来なかったため、過去のデータを利用した検討を行った。具体的には、過去に実施・測定した、1:言語のみ、2:視覚情報のみ、3:視覚情報と聴覚情報、とを活用可能な状況での、対象物に関するアイデア創作課題のデータの再検証を行った。特に、各条件において生じた対象物の操作過程とアイデアの構築過程とを仔細に検証し、以上の結果から予想されるモデルの具体的な検証も行った。これらの取り組みにより、対象物に対して営まれる操作のリストや創作されるアイデアのリストが抽出出来ており、またモデルもより洗練されたものへと修正・発展することが出来た。令和5年度では、本来実施予定であった実験1、2に対して以上の結果を反映・修正し、より洗練された実験を行う。また、それらの結果を研究発表や学術誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の研究実績の概要に記載した通り、当初予定していた対面実験については、COVID-19の感染により実施することが困難であった。一方で、本研究の前提となった過去の実験データをより仔細に検証することで、当初予定していた内容を部分的に達成することが出来ている。実際に、以上の内容については、国際学会での発表を行うことが出来た。また、以上のデータの分析結果からは、知覚体験と創造活動との関連性を当初の予定よりもより明確に検証可能な実験設定を導けている。現在、以上の発展的な実験の実施に向けた準備を進めており、近日中に実施することを予定している。一方で、当初予定していた実験については、今年度実施することが出来なかった。以上について、上記の通りより発展した対面実験を、感染予防を適切に行った上で実施し、当初の予定よりもより内容的に精緻な検証を行うことを予定している。以上により当初の研究予定に加え、より発展的な検討を行うことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記した通り、まずは予定していた実験を洗練した知覚体験と創造活動との関連性を検証する実験を行う予定である。さらには、当初から令和5年度に実施予定であった「知覚媒体の種類」に加えて、「操作する対象物の知覚特性(特に触覚特性)」を要因として組み込んだ3要因の実験を行う予定である。そして、知覚媒体の種類、操作する対象物の知覚特性、その交互作用によって生じる効果を、創作されたアイデアや創作過程の差異を定量的に比較することで検証する。そして、以上の2つの実験の知見を反映した創造性支援のためのデザイン原則を提案する。なお、結果次第ではあるが、期間が許せば実際にそれらのデザイン原則を芸術創作過程として組み込んだ教育実践を行うことを考えている。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」等に記載した通り、令和4年度ではCOVID-19の感染等を鑑み、当初予定していた対面での実験を実施することが困難であった。そのため、以上の検証実験については、内容を洗練させた上で令和5年度に実施することとした。令和5年度に実験を実施する上で、協力者への謝金の支払いや物品の購入等が必要なったため、次年度使用額が生じている。
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Research Products
(7 results)