2022 Fiscal Year Research-status Report
児童期の書く力の質的発達と個人差規定因としての実行機能:縦断調査と実験による検討
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22K03084
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
上田 紋佳 北里大学, 一般教育部, その他 (60707553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪原 敬介 北里大学, 一般教育部, 講師 (10733967)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 作文 / 言語力 / 読書 / 小学生 / 縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
PISA調査等で指摘されるように,多くの児童にとって文章を書くことは難しい課題である。しかも,児童によって「書く内容が思いつかない」「語彙不足で書きたいことを表現できない」など,不足する作文スキルの質は異なっている。しかしながら,このような作文スキルの質的な側面に基づいた研究は極めて少ない。そこで本研究では,児童期(小学生)の作文スキルの質的な側面を評価するスケールを開発し,4年間の縦断調査によって作文スキルの発達プロセスを明らかにすることを目的とした。 今年度は,作文の質的評価のスケールを作成することを目的とした。まず,国内外の作文研究に関する,文献調査を行った。課題作成にあたり,縦断調査での使用に適した作文課題として,カリキュラムに基づく測定(Curriculum-Based Measurement :CBM;Deno, 1985; Deno, Mirkin, & Chiang, 1982)による研究の作文課題を参考にした。さらに,文章のジャンルについては,文章を評価する際に考慮するべき点の一つであり,作文研究では異なるジャンルの文章を比較する必要があるとされている(Dockrell, Connelly, Walter, & Critten, 2015)。そこで,学校で実施される一般的な課題であり,調査対象者の小学生にとって馴染みのある課題である物語文と説明文課題の2種類の作文課題とした。また,作文の評価方法として,「6+1 Trait」ライティングシステム(Education Northwest, 2018)を参考に,日本人児童を対象とした作文の質的な評価方法の開発と,終端位置,文節数,文数,漢字数などを指標とする量的評価の両方の評価を行うこととした。次に,これらの作文課題を用いて,公立の小学校2校で縦断調査の1年目の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,予定通り,作文課題を作成し,縦断調査の第1回目を実施し,調査結果を協力校へ年度内に報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断調査の第2回目の実施に向けて,予定通り進めていく。 研究代表者の所属が変更し,研究環境が大きく変化したため,機材などを含め,11月の調査実施に間に合うよう,研究環境を整備する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由として,予定していた学会参加に,研究代表者が産休のため参加できなかったことに加えて,人件費の使用額が予定額を下回ったことがあげられる。この次年度使用額は,研究環境の整備に充てる予定である。
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