2023 Fiscal Year Research-status Report
Pentagon Copying Test(PCT)の作成と標準化の試み
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22K03097
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
福榮 太郎 横浜国立大学, ダイバーシティ戦略推進本部, 准教授 (10638034)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軽度認知機能障害 / 認知機能検査 / MMSE / 構成障害 / 視空間認知 / Pentagon Copying Test |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症などの疾患において構成障害の有無は,日常生活上の障害の予測,その後の症状の進行の予測,後方連合野の病変の有無の推定,認知症の鑑別などに有用であるとの知見が報告されている。構成障害の評価には,図形模写の有用性が指摘されている。最も臨床場面で多く施行されている図形模写は,Mini-Mental State Examination (MMSE)の五角形模写が挙げられる。だがMMSEでの五角形模写の評点は0-1点であり,構成障害を充分に評価できるとは言い難い。そこで本研究は,五角形模写を独立した描画検査として捉え,Pentagon Copying Test(PCT)として標準化することを目的とする。さらにこれまでの研究で蓄積されているデータを用い,本研究で作成したPCTによって4大認知症の鑑別の可能性,構成障害の継時的変化について検討を行う。 現在,上記研究を目的として,データの収集を行っている。2023年度より予定していたタブレットを使用した,PCT及び,Trail Making Test(TMT)の施行が,研究協力機関である横浜市立みなと赤十字病院で開始されている。またこれまで蓄積されていた五角形模写のデータ500例の測定を行った。これらのデータをもとに,今後,他の認知機能検査や疾患との関連や継時的変化について検討を行う。またタブレットを使用して収集された,描画時のデータについての検討も併せて行っていく予定である。 また2023年度において,総合病院精神医学会において「Pentagon Copying Test(PCT)の開発についての予備的研究」のタイトルで,予備的な研究の成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査フィールドとなっている横浜市立みなと赤十字病院において,これまでコロナの感染拡大により,病院内での対応が一定程度必要となっていた。ただ2023年度頃より,感染症対策の緩和などもあり,コミュニケーションも円滑に行えるようになりつつある。そのため,症例の蓄積やデータ整理なども進んでおり,現状では,おおむね計画通りに研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ対応の変化に伴い,研究の進捗は計画通りに進んでおり,基本的にはこの状態を適切に維持することが当面の目標となる。また今後は収集を行っているデータの解析を行い,適宜,学会等での発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
調査フィールドとなっている横浜市立みなと赤十字病院が,2023年度においても,コロナ禍における対応を行う必要があったため,支出を伴う作業に入っておらず,タブレットでの調査の可能性や,新たな検査項目の選定など,研究計画段階での検討を重点的に行ったため,具体的な予算の支出が伴わなかった。2023年度末より,調査が開始されているため,今後,使用物品の購入や調査協力のための謝金の支払などが順次生じてくると考えられる。
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