2022 Fiscal Year Research-status Report
自殺予防のための自閉スペクトラム症のある子どもの自殺リスクと自尊感情の検討
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22K03102
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
太田 豊作 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10553646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山室 和彦 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (60526721)
岸本 直子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90596743)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 自殺予防 / バイオマーカー / 自尊感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的コミュニケーションおよび社会的相互作用の障害と、行動や興味の限局的・反復的なパターンを中心症状とする神経発達症で、これまでの報告では7.2~12.8%に自殺企図歴が認められる。ASDの自殺企図においては、長年にわたる対人関係構築の失敗の繰り返しによって自尊感情が著しく低下していることが指摘されている。一方、脳画像研究から、自殺関連行動と前頭側頭葉の構造異常および機能異常が指摘されており、ASDにおいても自殺関連行動と神経生物学的異常が関連している可能性がある。 そこで、10歳以上18歳以下の自傷・自殺企図歴のあるASD患者6例と自傷・自殺企図歴のないASD患者8例に対して、事象関連電位、近赤外線スペクトロスコピィ(NIRS)での評価とともに、コロンビア自殺重症度評価尺度と精神疾患簡易構造化面接法のモジュールCを用いて現在の自殺リスクを評価し、日本版Coopersmithの自尊感情尺度とローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版での自尊感情の評価を行った。この結果、自傷・自殺企図歴の有無に関わらず、精神疾患簡易構造化面接法のモジュールCでの現在の自殺リスクとローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版のスコアに負の相関が認められた。事象関連電位およびNIRSについては、例数も少ないことから十分な検討が実施できなかった。 ASDにおける自殺リスクと自尊感情の関連は、言及こそされてきたが明確に十分な検討はされてきていないため、非常に重要な所見と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響があり、被験者のリクルートが難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染症に対する考え方にも変化が生じており、これまで研究への同意が得られなかった患者についても改めて研究への協力を要請していく。また、定型発達の児童・青年についても募集用のポスターを作成するなどして広報し、研究への協力を要請していく。
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Causes of Carryover |
初年度は十分な対象数の被験者(ASD及び定型発達の児童・青年)の研究ができなかったので、その際に使用予定の費用が不要であったために計画より助成金が残った。次年度はより多くのASD及び定型発達の児童・青年に対する謝礼及び検査の費用などで残金が使用される見込みである。
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Research Products
(5 results)