2023 Fiscal Year Research-status Report
交際相手の束縛行為に対し被害の認識を阻害する要因の解明
Project/Area Number |
22K03132
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
笹竹 英穂 至学館大学, 健康科学部, 教授 (00319229)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デート暴力 / 心理的暴力 / 交際相手 / 束縛 / 受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
【交際相手からの束縛を愛情として受容する心理機制~テキストマイニングによる分析~】この研究では、交際相手から束縛された場合、愛情の表現の一つとして解釈してその束縛に従う心理機制を、テキストマイニングによって明らかにすることを目的としたものである。調査対象者は大学生399人である。束縛された状況を記載したシナリオを読ませ、束縛を愛情の表現として解釈するかどうかとその理由、束縛にしたがうかどうかとその理由について、自由記述で回答を求めた。その結果束縛を愛情の表現であると考えるかどうかは、交際相手から信頼されているかどうかの認識が影響を与えていることが示唆された。また束縛に応じるかどうかは、束縛による日常生活への支障を重視するか、交際相手の激しい愛情を重視するかの違いが影響を与えていることが示唆された。この研究成果は、至学館大学研究紀要第57号に掲載された。 【交際相手の束縛する動機に応じた対処の類型化】この研究では、交際相手から束縛された場合に、なぜ束縛をするかの動機に応じてどのような対処が考えられるかを類型化することを目的としたものである。研究Ⅰでは、束縛が行われる動機を類型化した。束縛が行われる理由について大学生174人に対し自由記述で回答を求めた。そしてクラスター分析を行った結果、4類型に整理された。それは自信がなくて振られてしまうという不安(類型1)、交際相手を奪われてしまうという不安(類型2)、束縛は愛情の表現という認識を持っている(類型3)、独占欲(類型4)である。研究Ⅱでは、これらの4類型の動機から束縛が行われた場合、どのように対処したらよいかについて明らかにすることを目的とした。大学生174人を対象に、4類型ごとの対処方法について自由記述で回答を求めた。その結果、交際相手を褒める、自信をつけさせる、安心させるなどの類型ごとの対処方法が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、至学館大学研究紀要及び至学館大学教育紀要に2本の論文が掲載された。さらに国際誌にも論文を投稿して現在審査中である。このように研究成果が得られているため、おおむね順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、交際相手からの束縛を受容する心理機制として、恋愛不安及びロマンチックな愛に関する信念の2つの要因を取り上げて、その影響を調べたいと考えている。恋愛不安についてはすでにデータは収集しているため、現在分析中である。またロマンチックな愛に関する信念については、予備調査を実施して現在の研究デザインで良いかどうかを検討している。研究デザインに問題がなければ、令和6年の前半にデータを収集したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は約1万円であるので、ほぼ計画通りに予算執行ができた者と考えられる。物品費としてマークシート用紙を購入するつもりであったが、実際にデータを収集した結果、予想したよりも調査対象者が少なかったため、マークシートを新たに購入しなかった。
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