2022 Fiscal Year Research-status Report
mPath日本語版を用いた初学者のための傾聴トレーニング法の開発
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22K03139
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
本山 智敬 福岡大学, 人文学部, 教授 (10551434)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パーソンセンタード・アプローチ / 傾聴 / 対話 / トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の1年目として、まずは「mPath日本語版」を作成するにあたって、そのパイロット版の作成を進める予定であったが、その作業が遅れている。その理由はヨーロッパでのmPath研究が現在止まっていることに起因するが、それについては後述することとする。その代わり、mPathの開発者の一人であるDavid Murphy氏とデンマークで7月に開催された15th World Conference for Person-Centered & Experiential Psyhotherapy & Counseling にて会い、研究に関する情報交換を進めることができた。 また、PCA傾聴トレーニング法を開発するにあたって、そのベースとなるPCAの傾聴とな何かについて、これまでPCAの活動を共にしてきた実践家、研究者と共に議論し、その成果を『パーソンセンタード・アプローチとオープンダイアローグ(仮題)』と題する本を分担執筆した。この本は2023年9月に出版予定である。本書において筆者は「PCAのエッセンスモデル」について論文を書いている。さらに、PCAの対話においてキーワードとなる「対等性」について、Japanese Psychological Research に投稿し、掲載された論文を日本語訳し、日本の研究者にも公表した。 これまでPCAを説明する上ではロジャーズの引用をもとに記述されることが多かった。今後のPCAの発展を考える上では、PCAの実践から蓄積してきたそれぞれの経験をもとに、自分なりの表現でPCAのエッセンスを表現し、相互に共有していく必要がある。そういった点においては、PCA傾聴トレーニング法を開発する上で、この一年で進めてきた書籍や論文はとても重要な位置を示し、理論的にも今後の研究の基盤となるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、PCA傾聴トレーニング法を開発するにあたり、その具体的方法として「mPath日本語版」の作成を進めている。このmPathは、筆者がイギリスに在外研究で滞在している間に知り、その有効性を確認し、ぜひこの日本語版の作成を試みたいとMurphy氏に依頼して許可を得、科研費の支援によって実現したものである。 昨年度、研究1年目に改めてMurphy氏にmPathの使用について打診をしたところ、使用に関しては許可を得られたものの、イギリスでのmPath研究が研究費の都合でストップしており、webシステムを使用するにあたっての移行作業に予定よりも時間がかかることが判明した。現在、Murphy氏の共同研究をおこなってきたシステム開発担当者に連絡し、日本での使用にあたっての手続きについて協議を行うところである。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、mPathのシステム担当者と連絡を取り合い、日本でのサーバーに移行して使用できるよう、早急に対応する必要がある。その上で、今年度中のmPath日本語版の完成を目指す。 そのために、この夏に予定していたイギリス、ノッティンガム大学への訪問は来年度(最終年度)に延期する予定である。その代わり、2024年3月にイギリスからMurphy氏を招聘して、日本のPCA実践家・研究者との情報交換のワークショップを実施する予定である。これは、3年目(最終年度)の夏に行う予定にしていたものを前倒しして企画するものである。当初はPCA傾聴トレーニング法が完成した後に実施する予定としていたが、mPath日本語版の作成が遅れていることに伴い、mPath日本語版を傾聴トレーニングに活用する上でのノウハウをワークショップを通して検討し、最終的なPCA傾聴トレーニング法を開発するヒントを得ることを目的とする形に変更することとした。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は539円である。年度の最後に執行した謝礼金の執行額との兼ね合いで残金が出てしまったためである。 翌年度分として請求した助成金の使用計画の中では、イギリスからの大学教授の招聘にかかる額が最も大きくなるので、その分に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)