2023 Fiscal Year Research-status Report
幼児の社会情動的スキルの規定因とその発達プロセスの解明
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22K03150
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 寿代 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (90508326)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会情動的スキル / 感情理解 / 感情制御 / 学習意欲 / 注意の持続 / 学習態度 / 問題行動 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期の社会情動的スキル(Social Emotional Skills 以下,SES)の育成には,感情理解,感情制御,対人葛藤場面での対処に必要な問題解決スキルの習得が不可欠である。本年度は,SESの発達及び問題行動と感情理解,感情制御,問題解決スキルの因果関係を明確化するために尺度の再検討を行った。 感情制御尺度として使用予定であった幼児用気質尺度短縮版は,項目内容の妥当性に疑問が残ったため,Emotion Regulation Checklist(ERC)(Shields, & Cicchetti,1997)を使用することにした。また,問題解決課題として挑戦的状況における問題解決課題(Denham, Bouril, & Belouad, 1994)を使用する予定であったが,保育園における活動場面との関連が不明であったため,Preschool Learning behavior scale(PLBS)(McDermott, Leigh, & Perry, 2002)を使用することにした。PLBSは,注意力,新奇性や修正への反応,観察された問題解決方略,柔軟性,反射性,自発性,自己指示性,協同学習を含んでいる。 保育者300名を対象として,感情調整, 学習行動と社会情動的コンピテンス及び問題行動の関連を検証した。保育者の年齢,年収,子どもの年齢及び性別を統制した相関関係を算出したところ,感情調整,学習行動(学習意欲,注意持続性,学習態度),社会情動的コンピテンス及び問題行動はそれぞれ関連していることが示された。 次年度は,複数時点での調査を実施することによって,T1時点とT2時点のそれぞれの変数の関連性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,縦断研究を実施する予定であったが,コロナウィルスの影響で1時点での調査研究しか実施できていない状況のため,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査課題や尺度を大幅に見直したため,まずは,尺度間の関連を縦断的に検証する必要がある。今後は,縦断調査を実施し,どの時点のどの変数がその後のどの変数と主に関連するのかを検証する。
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Causes of Carryover |
当初の計画より調査の実施が遅れたことと,コロナウィルス後の学会開催で,対面開催ではなくオンライン開催となった学会があったことから,学会参加に伴う諸経費の使用がなくなったために次年度使用額が生じた。次年度は,計画通り調査が実施されることと,対面開催での学会に参加予定である。
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