2023 Fiscal Year Research-status Report
精神病早期段階における患者家族間の相互作用メカニズム:疾患解釈スタイルに着目して
Project/Area Number |
22K03167
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱家 由美子 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (80622422)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 家族心理教育 / 早期精神病 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神病早期段階の治療においては心理社会的介入の重要性が強調されている。特に、家族心理教育を中心とした家族介入のエビデンスは高く、早期精神病に関する英国の治療ガイドラインでも推奨されている。この家族介入を有効に実施するためには、患者および家族の問題にかかわる相互作用メカニズムを理解し、相互作用を意識した戦略立てが役立つと考えられるものの、現在までのところ、そのメカニズムは未解明のままであり、患者と家族への介入も各々個別に行われているというのが現状である。 そのため、本研究では精神病を生涯で初めて体験した初回エピソード精神病(FEP)を対象とし、患者と家族の抱える多様な問題の中から「疾患に対する捉え方」に関する調査を行う。具体的には、両者の持つ「精神病発症に至った経緯の解釈」と「疾患や予後についての捉え方」を評価し、そこでの異同が患者および家族の状態とどのように関連するのかの検討を行う。 本研究を通して患者と家族の相互作用メカニズムの一部が解明されることは学術的意義があると同時に、患者・家族の双方を意識した効果的な心理社会的介入戦略の発展に貢献することが期待される。 今年度は、本研究の調査対象としている「発症経緯の解釈」「疾患の捉え方」のバリエーションを把握するための文献研究をさらに進めると同時に、それらを評価するための質問内容や調査に使用する質問紙の精査を行い、患者および家族に対して負荷のかかり過ぎないインタビュー内容の検討を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の所属部署異動により研究体制が変更となったことに伴い、当初の計画通りの遂行がやや困難となっているため。また、早期精神病の専門外来の臨床研究体制が変更となり、FEP患者の受診が少なくなったことに伴って研究対象となる臨床例を得ることが難しくなっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究対象者を得るために、新たな研究協力者や協力機関を得るなどして研究体制を再度整備することを目標とする。体制整備が見込める場合には、家族と家族に対する調査内容を決定し、東北大学医学部・医学系研究科倫理委員会への申請を行ったうえで、本調査を実施する。 体制整備が困難な場合には文献研究を継続し、現時点で得られている情報に基づいて『精神病発症に伴う患者および家族の反応のバリエーション』を概観可能な形とし、今後の臨床研究につなげる足掛かりとする。
|
Causes of Carryover |
調査に使用する質問紙が未決定のため未使用額が生じた。次年度調査可能な体制が整備され次第、質問紙購入費や謝礼として使用する予定である。
|