2022 Fiscal Year Research-status Report
精神科医療機関を受診するASD患者の就労阻害要因の探索と新たな支援方法の開発
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22K03170
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 大樹 岡山大学, 教育推進機構, 助教 (20832976)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療機関を受診するASD患者を対象に調査を実施し、長期的な就労継続状況や就労継続阻害要因を明らかにし、既存のASD就労準備プログラムをもとに、医療機関で実施できるより効果的な支援方法を開発することである。 初年度は、予備的な検討として、医療機関受診後に就労支援を経て半年以上就労継続しているASD患者28名(就労群)、就労していないASD患者26名(非就労群)を対象に自己記入式の質問紙調査を実施した。年齢、性別、1週間あたりの就労時間に回答を求め、自閉スペクトラム傾向者用就労準備性尺度、Autism-Spectrum Questionnaire Japanese version(AQ-J)、K6日本語版、自己理解尺度短縮版の「肯定的側面の自己理解」と「否定的側面の自己理解」にも回答を求めた。 2群間(就労群と非就労群)の比較を行ったところ、年齢、性別、AQ-J、K6日本語版、自己理解尺度短縮版には、有意差は認められなかった。自閉スペクトラム傾向者用就労準備性尺度の中で、「仕事に必要なスキル」と「基本的労働習慣」、「社会生活」で有意差が認められ、いずれも就労群の得点が高かった。これらの結果から、仕事に必要なスキルの低さや労働習慣の乏しさ、円滑な社会生活のために必要なスキルの低さが就労の困難さと関連している可能性が示唆された。ただし、今回の調査は予備的なものであり、調査対象を広げたうえで、就労継続要因との関連など、更なる検討が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予備的な調査を行い、現在は就労支援を受けた者を対象とした調査の準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
非就労者に加え、ASD就労準備プログラムを受けた者を対象とした帰趨状況の調査を行い、就労や就労継続に関係する要因を明らかにしていく。その要因を踏まえ、ASD就労準備プログラムを改良していく予定である。
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Causes of Carryover |
学会が岡山開催となり旅費が不要になったこと、予定していた調査が年度内に始められなかったことで次年度への繰り越しとなった。今後、学会での成果発表や臨床群に対する質問紙調査を継続して行っていく予定であり、繰り越した金額はその費用として使用する。
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