2022 Fiscal Year Research-status Report
子どもの般化されたプライアンス変容による認知行動療法型ストレスマネジメントの確立
Project/Area Number |
22K03184
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋田 洋徳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70284130)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / ストレスマネジメント / 般化プライアンス |
Outline of Annual Research Achievements |
児童生徒の様々な不適応行動や心身の症状の背景に存在しているとされる「心理的ストレス」を軽減し、児童生徒のストレス耐性を高めることを目指した「認知行動療法に基づくストレスマネジメントプログラム」は、これまで一定の効果があることが示されている。本研究課題は、学校のクラス集団をベースとしてプログラムを実践する際に、その効果に影響を及ぼすとされる認知行動的な個人差変数を踏まえて、個に応じたストレスマネジメントを実践すること、特に、個々の児童生徒の行動変容を阻害するルール支配行動である「般化されたプライアンス」を変容するための具体的な介入の方法論を構築、体系化し、標準化することを目的としている。そのプロセスにおいて、2022年度は、児童生徒の学校生活に大きな変化をもたらし、想定よりも長期化してしまった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を考慮した心理的支援を行う必要性が生じたことから、緊急時の心理的支援として体系化されているサイコロジカル・ファーストエイドを援用し、従来型のストレスマネジメント教育と組み合わせた介入効果を検討することを目的とした。 研究参加者は、公立小学校に在籍する児童116名(平均年齢8.7±0.5歳),公立中学校に在籍する生徒186名(平均年齢13.6±0.5歳)であり、クラス集団単位で介入を実施した。データ分析の結果、ストレス反応の表出が強い小学生において、組み合わせた介入によって、従来型介入よりもネガティブな感情に対する否定的な評価が低減したことが示された。また,小中学生ともに、ストレス反応の表出が強い者はいずれの介入によってもストレス反応が軽減したものの、組み合わせた介入と従来型介入との効果の差異は見られなかった。今後は、組み合わせた介入の手続きをさらに工夫することによって、介入効果の検討を行う必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,対象となる学校現場において,さまざまな行事等がコロナ禍以前の状況に戻りつつあり,それに伴う学校の教育計画の変更等に伴い,見込んでいた介入授業の確保が難しくなった対象校が多く生じてしまったため,進捗がやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,2022年度に見込んでいたデータ収集等の計画を再度見直し,研究目的を適切に達成できるように努力する。
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