2023 Fiscal Year Research-status Report
Developmental research on a systematic gatekeeper education program for faculty members and parents
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22K03186
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
新井 肇 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (60432580)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自殺予防 / ゲートキーパー教育 / 教職員対象の自殺予防研習 / 保護者対象の自殺予防普及啓発活動 / 体系的プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、「小・中・高等学校の教職員・保護者を対象とするゲートキーパープログラム(GKEPと略す)」を作成し、実効性を高めたうえで、各校種のモデル校において体系的にGKEPを実施することにある。そのために、2022年度は、家庭支援の視点をもつオーストラリアのBe Youプログラムについて、文献収集と内容分析を行った。また、兵庫県伊丹市の小・中・高校の教職員を対象とする自殺予防研修、及び大阪府茨木市の自殺予防教育を推進するモデル校(小学校2校)での校内研修において、新井(2021)の教職員研修プログラムを実施し、その前後で、教職員を対象に自殺予防に関する認識と自殺予防教育に関するニーズについての意識調査を行った。その調査結果を参考にしてプログラムを見直し、小・中・高等学校の教職員を対象とするGKEPの作成を行った。 2023年度は、見直したプログラムを伊丹市の教職員研修、茨木市の新たなモデル校(中学校1校)及び兵庫県加古川市のモデル校(小学校1校)で実施し、教職員用に修正した「ゲートキーパー自己効力感尺度(GKSES)」により効果測定を行った。加えて、プログラムの精緻化を図るために、イギリスのPSHE(Personal, Social and Health Education:人格的社会的健康教育)の実践校を訪問し、日本における包括的自殺予防教育の実施に向けた教員研修、保護者への啓発活動、児童生徒向けの授業づくり等の具体的方向性と留意点について、現地調査を行った。 2024年度は、伊丹市、茨木市、加古川市において、教職員、保護者に対するGKEPを実施するとともに、研究協力者が中心となって児童生徒を対象に自殺予防教育の授業を実施し、包括的プログラムの全体構造を明らかにするとともに、プログラムを包括的に実施することの効果について検証し、研究成果のまとめを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教職員研修は各校種において実施できているが、保護者を対象とするGKEPについては、コロナが5類に移行したとは言え、対面集合型の研修が難しい状況が続いていることから、作成したプログラム実施し、効果測定し、プログラムの精緻化を図ることができず、次年度に持ち越さざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度の2024年度は、本年度に実施した教職員を対象とするGKEPを効果検証の結果に基づいて精緻化するとともに、保護者を対象とするGKEPをモデル校(小・中1校ずつ)において、PTA研修の一部として実施し、プログラムの効果についてのデータ収集・分析を行ったうえで、包括的なGKEPの全体構造を明らかにする予定である。効果検証は、森田・太刀川ら(2015)の「ゲートキーパー自己効力感尺度(GKSES)」の修正版による量的検討に加え、朴ら(2016)のFocus Group Interviewを用いた質的研究方法を参考に、GKEPが教職員・保護者の児童生徒の自殺予防における意識・態度・行動の変化等に与えた影響を検討する。 また、2023年度にイギリスのPSHEの授業や担当教職員の研修等を調査するために、先進的な実践校を訪問した結果、自殺予防教育を進めるうえで、児童生徒への授業実施の前提として、省察(reflection)を基軸においた教員研修と保護者への啓発を並行して進めることが不可欠であることが、あらためて確認された。そこで得られた知見を活かして教職員・保護者のゲートキーパー研修の体系的プログラムを精緻化するととともに、効果的な実施方法等についても検討し、学校における包括的なGKEPの実施に向けて、具体的な提案を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
保護者を対象としたGKEP(ゲートキーパープログラム)が実施できなかったため、研修の必要な機材や会場費等が発生しなかったことと、イギリスのPSHE(人格的社会的健康教育)に関する調査が年度末になったため、当該年度の支出として計上できなかったために、次年度使用額が生じた。イギリス調査経費と、保護者対象GKEPの普及啓発活動を実施するための経費、さらに、研究成果の学会発表のための旅費等の経費、研究成果をまとめた報告書の作成経費等に使用することが予定されている。
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Research Products
(12 results)